2021年6月25日(金)(憲法千話)
憲法便り#5195:夫婦別姓前例踏襲判断に抗議!倉林明子・日本共産党ジェンダー平等委員会責任者の怒りの談話!
2021年6月24日(木)付『しんぶん赤旗』日刊紙第2面を引用しました。
【記事の全文】
夫婦別姓前例踏襲判断に抗議!倉林明子・日本共産党ジェンダー平等委員会責任者の談話!
日本共産党のジェンダー平等委員会倉林明子責任者は23日、最高栽が夫婦別姓を認めない民法などの規定を「合憲」と判断した問題で、次の談話を発表しました。
最高裁大法廷は、民法、戸籍法が夫婦別姓を義務としていることについて、「合憲」とする決定を示しました。2015年の大法廷の「合憲」判決以後、選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する国民は増え続け、地方議会でも意見書が多数上がるなど世論と運動の高まりがありました。にもかかわらず、旧態依然、前例踏襲の司法判断となりました。選択的附夫婦別姓制度の導入を強く求めてきた党として、厳しい抗議の意を表明します。
氏名は個人の人格の象徴です。それを変えることには、さまざまな不利益や、精神的苦痛が伴います。婚姻すれば、どちらかが改姓を迫られる現行法下では、意に反して氏を変更するか、それとも婚姻をあきらめるかの選択が迫られます。憲法で定められた個人の尊重、幸福追求権、当事者の自由な意思決定に、現行法が制約となっていることは明らかです。
夫婦同姓の強制は、戦前の「家制度」の名残です。改姓するのは現在も95%以上が女性であり、両性の平等に反しています。女性差別撤廃委員会からも繰り返し、規定の改正が勧告されています。
1996年には法制審が、選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法改正を答申しましたが、以来、日本社会は足踏みを続けてきました。一番の障害は、古い「家制度」の価値観にしがみつく一部の政治勢力です。来たる総選挙が、事態を打開する最大のチャンスです。日本共産党は、市民と野党の共闘で、個人の尊厳とジェンダー平等を進める政権をつくるため、全力でたたかう決意です。
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【関連資料の再録】
2021年6月25日(金)(憲法千話)
憲法便り#5194:夫婦同姓強制再び合憲判決!最高栽が「判断は国会で」と無責任な11人の多数意見による判断!しかし、4人が「違憲」とする意見、反対意見を表明!
2021年6月24日(木)付『しんぶん赤旗』日刊紙第1面を引用しました。
【記事の全文】
夫婦別姓の婚姻届が受理されない民法や戸籍法の規定は「婚姻の自由」などを定めた憲法に違反すると、東京都内に住む事実婚カップル3組が争っている家事審判の特別抗告審で、最高裁判所大法廷(裁判長・大谷直人長官)は23日、民法も戸籍法も「憲法に違反しない」とする決定をしました。裁判官15人中11人の多数意見です。4人が違憲とする意見や反対意見を出しました。2015年12月の大法廷判決に続く2度目の合憲判決です。事実婚カップルの弁護団は、「選択的夫婦別姓に賛成する世論が高まる中で残念な判断です。しかし違憲の判断をした裁判官は熱意が伝って中身のある決定です」と話しました。
大法廷は合憲と判断した理由について、「社会や国民意識の変化を踏まえても、2015年判決の判断を変更すべきとは認められない」としました。そして、夫婦の姓の制度の在り方は、15年判決の指摘通り「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」と述べています。
事実婚カップルは、▽現行規定が法の下の平等を定めた14条に違反する ▽結婚の自由などを定めた24条に違反する ▽国際人権条約に違反する―とする3点を主張しました。しかし、合憲とした多数意見は憲法24条に触れただけで、「その余の論旨は特別抗告の自由に該当しない」と切り捨てています。
50ページに及ぶ決定文のうち、多数意見を記述しているのは、わずか2ページ足らずです。
残る大部分を4人の違憲意見や3人の補足意見で埋めています。
三浦守裁判官は、「法が夫婦別姓の選択肢を設けていないことは、憲法24条に違反する」と述べています。
宮崎裕子裁判官、宇賀克也裁判官、草野耕一裁判官は、現行憲法24条に違反するとし、「事実婚カップルの婚姻の届け出を受理するよう命じるべきだ」と判断しています。うち、宮崎、宇賀の両氏は「夫婦同氏を婚姻届の受理条件とすることは、婚姻をするについての直接の制約となる」と述べ、15年判決が「夫婦同氏は婚姻の効力の一つであって、婚姻をするについての直接の制約に当たらない」としていたことの誤りを指摘しまし。
*岩田からふた言三言:多数意見の11人、まるで前世期の化石のような存在です。
わたしは、2020年1月15日に発行された『新女性史研究 第10号:特集 女性の権利確立のために』(編集・熊本女性学研究会)に、研究会から巻頭論文の依頼を受け、同誌に「日本国憲法制定に伴う民法改正―女性の権利確立の視点から」(1頁~68頁)を寄稿しています。その内容を以下に再録します。
【『憲法便り』の再録】
2020年5月3日(日)(憲法千話)
憲法便り#3279:憲法記念日特集(その3);『日本国憲法制定に伴う民法改正―女性の権利確立の視点から』(第一回から第二十三回までの一覧リスト)!
自著からの紹介です。
論理ではなく、資料に基づく、実証的女性史研究の書。
自信を持っておすすめします。
なお、併せて、2020年2月1日(土)付の『憲法便り#3000』で紹介した「拙稿が掲載された、編集・熊本女性学研究会『新女性史研究 特集 女性の権利確立のために 第10号 ‘20・01』」を再録します!
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【再録】
2019年11月4日(月)(憲法千話)
今回の研究、『日本国憲法制定に伴う民法改正―女性の権利確立の視点から』の出発点となった、『日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に關する法律理由書』(1947年(昭和22年)3月)
【序論】で、民法学者・中川善之助が言及している、福澤諭吉著『女大學評論・新女大學』(明治32年)
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【再録】
2020年2月1日(土)(憲法千話)
憲法便り#3000:拙稿が掲載された、編集・熊本女性学研究会『新女性史研究 特集 女性の権利確立のために 第10号 ‘20・01』について紹介します!
同誌の、表紙、標題紙、全体の目次、巻頭論文として掲載していただきました拙稿『日本国憲法制定に伴う民法改正―女性の権利確立の視点から』の「はじめに」と目次、編集後記が掲載された奥付、背表紙の順で、画像を準備しました。
原寸は、B5判です。
「特集 女性の権利確立のために」という特集名は、拙稿にちなんで選ばれたと伺っています。
たいへん光栄なことと存じます。
熊本大地震の直後に「熊本女性学研究会」について紹介した下記の文章がありますが、長い文章なので、明2月2日付の『憲法便り#3001』号で再録いたします。
【再録予定】
「2016年5月6日(金)付の『憲法便り#1716:熊本への激励のメッセージ。「熊本女性学研究会」の素晴らしい研究を紹介します。」