2022年1月11日(火)(憲法千話)
憲法便り#6000回記念号:またまた「不用、不急」という判断が曖昧な言葉によって、我々は自己責任を押し付けられ、特に舞台芸術、飲食店に携わる人たちが苦しめられることについて考察する!
2021年10月10日(日)付『しんぶん赤旗』日曜版第36面を引用しました!
歌舞伎俳優中村勘九郎さんがお客様の心を知り泣いた理由
彼の言葉を正確に伝えるため、ひと文字もおろそかにしては行けないとの思いがありましたが、かなり時間がかかるので、全文を伝える機会を考えていました。(赤い文字の部分は、岩田による強調です)
芝居を語る、明るくて情熱的な姿が、亡き父に重なります。
来月、「赤坂大歌舞伎」で上演する「廓話山名屋浦里(さとのうわさやまなやうらざと)」は、笑福亭鶴瓶さん作の人情噺(ばなし)を歌舞伎化したもの。一本気な武士・宗十郎(勘九郎)の窮地を救おうと、遊女・浦里(中村七之助)が一肌脱ぐ友情の物語です。
「師匠の落語を聞き始めて2分で、舞台の情景が頭に浮かびました。楽屋に飛んで行き、『歌舞伎化させて下さい!』とお願いしたら、『ええよ』と」
一般の劇場を用いた「赤坂大歌舞伎」は父、十八世・中村勘三郎さんが2008年、「歌舞伎のすそ野を広げたい」と始めました。今回、舞踊演目には勘九郎さんの息子、貫太郎さん(10)、長三郎さん(8)も出演します。
「おとなになった時、覚えているかはわかりません。でも父が残してくれた空間を味わってほしいんです」
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過去の「赤坂大歌舞伎」ではTBSのブタのキャラクターも登場して大受けでした。“なんでもいただくのが歌舞伎ですが、本質は変えません。
「父は、『お客さんの拍手に惑わされて、演出を変えるのは絶対にいけないよ』と言っていました。『ACTシアターだから、わかりやすくしてくれたんですね』と言われますが、そんなことはない。歌舞伎座と同じです」
「人情噺文七元結(ぶんしちもっとい)」(2010年公演)で父役の勘三郎さんが娘役の中村芝のぶさんの手をいとおしそうに握るのを覚えているといいます。
「(勘三郎さんの感情を引き出すため)芝のぶさんは手に、あかぎれを描きました。父はその手を嬉しそうに握っていました」
「私たちの一番の課題は、先人が試行錯誤して残してくれた型を追求し、そこに自分を生かすことです。そうして、歌舞伎を今の芝居にしたい」
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歌舞伎座は昨年、コロナ禍で5カ月休演しました。「エンタメは不要不急」という言葉に傷付きながらも、弟・七之助さんと話、歌舞伎のオンライン配信に初挑戦しました。
「(休演中も)私たち役者は映像などのお仕事をいただけます。でも舞台のスタッフは、芝居をやらない限り、お金にならない。彼らに仕事をという思いもありました」
上演したのは華やかな演目「お祭り」。久々の歌舞伎に、視聴者から「待ってました!」「中村屋!」と膨大な数のコメントが寄せられました。胸が詰まりました。
「こんなにも歌舞伎を待っていて下さったんだとうれしかった。お客様の心の中を初めて知った気がします。」
「今後も劇場は、探り探りの状況が続くと思います。でも再び、あの満杯の景色、熱狂を味わいたい。そのために、私も求められる役者にならなければいけないと思います」
(大塚武治記者)