2022年1月18日(火)(憲法千話)
憲法便り#6019:【愛知県清須市清州日吉神社の宮司三輪隆裕さんのブログ紹介:第2回】!岸田新政権に期待する(2021年10月6日)!
わたしは岸田新政権成立にも、その後にもまったく期待していませんので、この論考を紹介しましたが、意見を同じくしていません!
岸田政権が発足した。
安倍、麻生氏の傀儡政権であるとか、新入閣者が多いが平均年齢は高いとか、総裁選の論功行賞内閣であるとか、様々な評価があるが、概ね悪評である。一方では、ネトウヨと目される人々からは、高市政調会長による国防政策や、二階幹事長交代による中韓寄り政策の終焉を歓迎する声が聞かれ、経済界からは所得倍増政策に期待感が示されている。
しかし、最も注目したいのは、アベノミクスとの訣別と中間層の拡大を目指すとする経済政策である。
かねてから主張してきたように、自由主義市場経済は、経済行為の自由と、参加機会における社会的立場の平等ということの両方を保障しなければならない。後者については、一般に、教育を受けたり、医療を受けたり、最低限の生活保障を受けたりといったことは法律の整備と財政の出動により比較的簡単に担保されることができる。
しかし、最も難しいのは、経済行為の自由を強く進めれば必ず起きてくる貧富の差をどのように許容範囲に縮めていくかということだ。
小泉政権以来の新自由主義の経済政策においては、経済成長を重視し、経済行為の自由を強く進めてきた。その結果、貧富の差が拡大し、1980年頃には一億総中流と言われた日本社会の美点は消滅し、年功序列や終身雇用といった安定した雇用形態も喪失した。宮沢政権に象徴されるケインズ型の財政出動による景気刺激は失敗し、結果的に新自由主義の政策が採られた。その象徴が竹中平蔵氏である。
岸田新政権は、大胆にも、この経済政策にメスを入れ、経済成長と貧富の差の解消を両立させようとしている。すなわち、EU諸国のようなスタイルである。これに対し、米国や中国は今まで新自由主義的な経済政策をとってきた。中国は最近になって、その結果生じた貧富の差を共産主義的な「共同富裕」というスローガンで解消しようとしている。米国民主党は元々、社会民主主義的な政策、すなわちEU諸国のような政策への転換を目指していた。バイデン政権も、当面の諸課題、すなわちトランプ政権の後始末が落ち着けば、そちらへ舵を切るであろう。
このように考えると、案外、岸田新政権の目標は世界の潮流に沿っているともいえよう。
しかし、言うは安く行うは難しである。既存産業の構造改革と新技術の開発に基づく新産業分野の育成、安定した移民政策による労働力の確保などの経済成長のための方策と、中間層の拡大のための税法、労働法の改革、社会福祉政策の見直しと充実、課題山積である。
難題を克服して、是非、良い成果をあげて欲しいと思う。 (2021/10/06)