2022年4月22日(土)(憲法千話)
憲法便り#6502:【6500号記念その③】AV出演強要被害深刻化の恐れ;18、19歳が歯止めを失う!「未成年者取消権」の維持を!
2022年4月17日(日)付『しんぶん赤旗』日曜版第35面を引用しました。
4月から民法改定で、成人年齢が18歳に引き下げられました。新たに成人となった18、19歳の、アダルトビデオ(AV)出演強要被害の深刻化が懸念されています。親などの同意のない契約を取り消す「未成年者取消権」が使えなくなるからです。
(湯浅葉子記者)
「タレントにならない?」などの勧誘を入口に、だましや強要など違法な手口でAV出演させられる被害が後を絶ちません。拡散された画像は半永久的に消えず、被害者を苦しめています。これまでは、未成年者の場合、保護者の同意がないと「未成年者取消権」を適用し、販売停止にできました。
しかし、成人年齢の引き下げで「未成年者取消権」が使えなるため、高校生ビデオの主流化や被害者の低年齢化などが懸念されています。
先月23日、支援団体の「ぱっぷす」と「ヒューマンライツ・ナウ」は、18、19歳の「未成年者取消権」を維持する立法措置を求める緊急院内集会を開催。「ぱっぷす」の金尻カズナ理事長は警鐘を鳴らします。
「事業者もリスクをわかっているため、「未成年者取消権」は(20歳未満は出演させないという)抑止力になっていた。しかし4月以降は18歳から出演させられ、多くが泣き寝入りさせられてしまう」
18歳まではAV以外の仕事をさせ、18歳になった途端にAVに出演させる手口も想定されます。すでに中高生を対象にリクルートが行われている実態もあるといいます。
政府は「民法や消費契約法など既存の法律で対応していく」とし、「未成年者取消権」の継続に背を向けています。
【言葉巧みに誘導】(中見出し)
成人・未成年を問わず、違法性を立証出来れば契約は取り消せます。しかし、伊藤和子弁護士は院内集会で、「詐欺や強迫など違法性の立証は非常に難しい」と指摘。事業者は言葉巧みに誘導し、被害者にインターネットのラインで「がんばります」などと送らせ、それを「同意」の証拠にしたりするといいます。
「立証を必要としない「未成年者取消権」でないと対応できない。
伊藤弁護士は、「AVに関しては監督官庁もない。20歳以上の被害救済を含めた包括的な立法が必要だ」と話します。
25日には元AV出演者らが、「未成年者取消権」の継続を求める約3万9000人分の署名を政府に提出。日本共産党の本村伸子衆院議員は国会で救済の法整備を行うよう政府に求めました。超党派で議員立法を目指す取り組みが始まっています。
なお、大学生時代に被害にあった「くるまんアロマさん(31歳)の体験談「十数人に囲まれてどう喝、まるで”洗脳”」という文章も掲載されていますが、文字起こしは省略します。
【岩田からのコメント:自民党とこれに協力する勢力は、「票にならない」と思っているのか、事業者との何らかの結びつきがあるのか、人権感覚が麻痺しているとしか考えられない。無責任である。とにかく超党派の取り組みが進み、若い女性がたちが、悪質な事業者の毒牙にかからないよう願う】