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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2022年 05月 11日

憲法便り#6549:「『憲法便り#3438』:ZAITENのスクープから、『JR東日本「堕とされた偶像」の後継者たち』を取り上げます!(その2)」を再録します!

2022年5月11日(水)(憲法千話)

憲法便り#6549:「『憲法便り#3438』:ZAITENのスクープから、『JR東日本「堕とされた偶像」の後継者たち』を取り上げます!(その2)」を再録します!


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【再録】

2020年7月10日(金)(憲法千話)

憲法便り#3438:ZAITENのスクープから、『JR東日本「堕とされた偶像」の後継者たち』を取り上げます!(その2)


『憲法便り#3437』では、国労組合員への差別攻撃、組合潰しの実態について述べた。これに続き、今回は、1999年6月に行った会長挨拶を収録する。どちらも、今では、遠い昔のことのようであるが、現状と、酷似している。したがって、是非、皆さんに読んでいただきたいと思う。


1999年6月3日に、豊島区民センター6F文化ホールにおいて、歌手の唐土久美子さんを招いて、『想いの届く日』と題して、国鉄闘争支援ファミリーコンサートを開催。会員や会員の家族、東京北部の労組、民主団体、国労の仲間、当日の『しんぶん赤旗』の報道を見て来たひとなど、200名が参加。

国労が和解を模索しているため、事実上、『国労を勝たせる会』の最後の活動として取り組んだ。

そのため、会長としてのわたしの主催者挨拶は、時間をかけて国鉄『分割・民営化』の本質に迫り、さらに、平和を語りかけるものとなった。

その内容は、次の通りである。


国労地区提訴団支援『国労を勝たせる会』活動の記録

(1988年6月―2005年4月)


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「皆さんこんばんは。主催者を代表してご挨拶申し上げます。お忙しいなか国鉄闘争支援ファミリーコンサートにおこし下さいましてありがとうございます。今日のコンサートの名称『想いの届く日』というのは唐土久美子さんのCDのタイトルから取りましたが、これは同時に私たちの支援の想いを届けたいという意味を込めて決めたものです。

 

 私は今日ふたつのことを皆さんに伝えたいと思います。ひとつは勿論国鉄闘争支援、もうひとつは平和の問題です。

 国鉄は12年2ヶ月と3日前に分割・民営化が強行されました。あの当時国鉄分割・民営化の最大の理由になったのは、大きな赤字の問題でした。ところがこれはよく調べてみますと、当時運輸部門の収支だけならば赤字路線を含めても黒字でした。25兆円という赤字がどういうところから生れたかといいますと、ゼネコンと一緒になって行った新幹線網の整備や青函トンネルといった巨大開発が原因でした。これは本来の財政状態では出来ないことでしたが、長期の借り入れをして工事が組まれました。その結果大きな赤字が生じたのですが、分割・民営化をもくろむ陣営は、これをあたかも「愛想の悪い国鉄の労働者」あるいは「サービスの悪い国鉄」が原因であるかのような大合唱を行いました。本当のことをマスコミも報道しませんでした。

 

 国鉄というのは当時推定で二百兆円を超える資産を持つ世界でも有数の、勿論日本では最大の優良企業でした。経営にたずさわっている方ならがおわかりのように、総資産に対して10%ちょっとの借入金があっても、そのこと自体は許容範囲であって、それほど大きな問題ではありませんでした。実は一部の大企業が国民の共有財産であるこの優良企業をほしくてたまらなかったので、分割・民営化を強行させました。彼らは、赤字は引き継ぎませんでした。赤字の部分は、そっくり清算事業団に残して、資産だけを引き継ぎました。この時にどんなことが行われたのか、国民に真実を知らせないで、どんどん分割・民営化が行われました。べらぼうな値段で、ただ同然の安値で国民の共有財産である資産が「たたき売り」されました。

 ひとつだけ例を挙げましょう。山手線には二九の駅があります。今日、皆さんは池袋の駅を通ってきたと思いますが、あの広い池袋の駅を含めた二九駅の価格がわずか七九億でした。これは、銀座の一等地の百坪分ぐらいの値段です。なんでこんなに安かったかといいますと、簿価方式といいまして、購入時に帳簿に記入されている価格で算定下からです。国鉄の資産はその大部分が、明治・大正・戦前の昭和に購入されていますが、その当時の価格でJRに売られました。

 山手線の場合、時価のおよそ二千三百分の一といわれています。当時18兆円から20兆円もするものが、79億円で売られました。例えてみれば、二億三千万円の豪華な家が、たった10万円で買えるんです。ここにいらっしゃる皆さんも手を挙げて買うでしょう。そんな馬鹿げたことがやられたんです。JR各社の中には、こうして手に入れた資産を市場価格で転売して儲けたところもあるんです。このようなでたらめが国民に知らされないところで行われてきました。

 そのほかに、赤字がそのまま残されました。資産を売却して十五兆円も返済したのに赤字は逆に増えてしまいました。それはなぜか。当時はバブルの最盛期でした。もっと高く土地が売れるとふんでおりましたけれども、予定通りに売れて、持ち株も全部売っても十三兆円は国民の負担として残るという当初の計画でした。ところがその通りには売れませんでした。さらに問題なのは、ゼネコンがらみで借入したものを、バブル時代の高い金利のまま返済を続けておりました。皆さんならば、家のローンは金利の安いところに借り換えて返済するでしょう。国だって安いところに借り換えをすれば、半分以下の返済で済んだのです。ゼネコンが儲けて、銀行が儲けて、そのつけをすべて国民に押しつけてきたのです。そのような真相を明らかにすると国民は黙っていません。ですから当局は、国鉄分割・民営化反対運動の中心である国労に攻撃の矛先を向け、国民の目をそらさせたのです。

 国労は十二年前ずいぶん仲間が苦しんで脱落してゆきました。自殺者も分割・民営化を機に一年くらいの間に百人をこえました。私たちはこうした状況を見過ごすわけにはいかないということで、三人で「国労を勝たせる会」を発足させました。そして、今から十一年前の今日6月3日に、この同じ会場において、一七〇名の参加で結成総会を成功させました。その年のうちに会員は千名をこえ、それからずっと活動を続けてまいりました。しかしながら、国や経営者からの攻撃はなおも続けられました。差別と選別、そして特に一〇四七名が不採用ということで解雇されたままになりました。かれらはその後すっと全員の解雇撤回、JRへの採用を求めて闘ってまいりましたが、今の状況のなかで国労としては、政治決着をはかるという判断をしました。今日はそういう重要な局面で国鉄闘争支援のコンサートを開催しているのだということをお伝えしておきたいと思います。


次に、平和の問題です。

政府はいま国民に真実を知らせないままで、恐ろしいことを推し進めています。去る5月24日に国会で「新ガイドライン法」の成立を強行しました。わたしはあの日、参議院の議員面会所に行っておりました。とても悔しい思いでした。しかし、このままやりたい放題をやらせておくわけにはいきません。戦争法を具体化するようなことを、手を縛っておかなければならないと思います。政府は「後方支援」ということをさかんに言っておりますが、ユーゴスラヴィアに対するNATO軍による連日の無法な空爆を見れば分かるように、ひとたび戦争が始まってしまえば「前方」も「後方」もありません。私たちが自動車の運転を誤って何人もの死者が出るような事故を起こせば、その場で逮捕されます。しかしながら、中国大使館をはじめとして「誤爆」を繰り返し、多数の犠牲者を出しておきながら、だれも逮捕されません。戦争とはそういうものです。

 わたしは昭和17年(1942年)生まれで、2歳の時に母方の田舎に疎開いたしました。東京で住んでいた家は焼けませんでしたが、疎開先で住んでいた親戚の離れは、米軍機の爆撃をうけて焼けてしまいました。

 その日はとてもよく晴れた青空のきれいな日で、私はまだ2才でしたが、私たちが住んでいた離れがオレンジ色の炎を上げて燃えさかる光景をいまだによく憶えています。これは福島の農村部です。高射砲の一門もない、誰もライフルなんか持っていない、そういう地域です。戦争が始まるとアメリカ兵は、どこにでも爆弾を落としていきます。

 アメリカのベトナム侵略戦争反対の運動を、私たちは学生の頃からずっと続けました。ベトナム戦争が終って、私はその年のうちにベトナムに行ってみました。ベトナムの人たちがその後どういう風に生活をしているのか、自分の目で確かめたかったからです。

行く先々で市街地や、病院や、いろんなところが爆撃されているのを見ました。見渡す限り水田地帯、軍事施設が何もないところに、月のクレーターのような大きな穴がいくつもあいていました。米軍機が、水田で働いている農民や水牛に、爆弾を落としていったんです。これが戦争の実態です。

 私たちは、これからの日本がこのようなことに加担していくことを絶対に許してはならないと思います。そのために私たちひとりひとりが、いま声をあげていく時にきていると思います。

 日本には世界に誇るすばらしい平和憲法があります。私は今日、受付けのところに『あたらし憲法のはなし』という小冊子をおかせてもらいました。これは、終戦後、文部省が中学一年生のために作った教科書です。「日本はもう戦争はいたしません」「国際紛争については、日本は話し合いによって平和的に解決する」のだということを書いています。ところがこの教科書は、朝鮮戦争が始まったために二、三年使われただけで、いつの間にか幻の本になってしまいました。是非、皆さんにお読みいただきたいと思います。

 いま、みんなで力を合わせて、平和で、そして戦争で苦しむ人がいない、差別で苦しむ人がいない、そういう21世紀を迎えたいと思います。

 平和であるからこそ、今日のようなコンサートが開けます。どうぞ最後まで唐土さんのすばらしい歌をお楽しみいただきたいと思います。」

(用意した『あたらし憲法のはなし』50冊は完売)



by kenpou-dayori | 2022-05-11 05:43 | JTSUの闘い


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