憲法便り#6584:内藤功著『憲法九条裁判闘争史』(2012年)第3章の入力が完了しましたので目次を紹介します。ただし、これはA4判横書き入力で、第2章と合わせて刊行する際はB5判縦書きに変わります!6月中に刊行予定!
内藤功著『憲法九条裁判闘争史』(2012年)第3章
北海道夕張郡長沼町の馬追山に、航空自衛隊が「地対空ミサイルナイキ基地」を建設する計画を立てた。そのため、農林大臣が1969年、森林法に基づき水源涵養保安林の指定を解除した。これに反対した住民が、自衛隊の違憲性と指定解除処分により洪水の危険性が高まったとして、保安林指定解除の違法を主張して、処分取消しを求めて行政訴訟を起こした。
一審の札幌地裁は、基地周辺住民の「平和的生存権」を理由に訴えの利益を認め、自衛隊について違憲と判断し、保安林指定処分を取り消した。国は控訴し、控訴審の札幌高裁は高度に政治的な行為については、一見明白に違憲無効であると認められない限り、司法審査の範囲外にあるとする統治行為論により、一審判決を破棄した。住民側・原告は上告したが、最高裁は憲法判断をせず、原告に訴の利益がないとして上告を棄却した。
裁判の過程で、札幌地裁所長による一審の福島裁判長に対する訴追などの事件があり、司法権の独立をめぐって世論の注目を集めた。
第1節 長沼事件のたたかい
●ミサイルの発射基地をつくるために森林を伐採…………p.2
●福島裁判長に対する圧力と激励……………………………p.3
●源田実氏を証人申請した理由………………………………p.5
●「米軍を守るのが自衛隊の任務」と証言………………………p.6
●戦争はなぜ起きるかという元陸軍中将の証言…………………p.7
●空幕防衛部長との軍事論争……………………………………p.7
●生活に密着する論点も取り上げる………………………………p.9
第2節 長沼訴訟をふりかえって
●福島裁判長の執念のあらわれ……………………………………p.10
●自衛隊の実体審理をさせたこと…………………………………p.10
●ナイキJミサイルは防衛兵器かどうかという問題……………p.11
●軍需産業の利潤ための軍隊・自衛隊……………………………p.12
第3節 平和的生存権をリレーする
●平和学校のようになった法廷……………………………………p.13
●ミサイル基地を求めるアメリカの強い要求があったから………p.14
●平和的生存権と具体的な被害と…………………………………p.16
●百里裁判の東京高裁判決における平和的生存権…………………p.18
●次の闘いにつながる闘い方………………………………………p.19
●常に到達点を確認する……………………………………………p.21
第4節 長沼判決をどう生かすか
●長沼判決の五つの画期的な点……………………………………p.22
●9条による平和の具体的な保障を明らかに……………………p.22
●当時のソ連脅威論、現在の中国脅威論…………………………p.23
●違憲判決を広げるということ……………………………………p.24
●違憲判決後の8年をどう見るか…………………………………p.26
●名古屋高裁判決をどう活かすか…………………………………p.28
●弁護士の勉強のしかた……………………………………………p.29
●現在の自衛隊問題での大事なテーマ……………………………p.31
●何を勉強するか……………………………………………………p.32