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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2022年 10月 04日

憲法便り#6712『守山義雄文集』の酒や煙草に戦時税の記述とJアラート!

2022年10月4日(火)(憲法千話)

憲法便り#6712『守山義雄文集』の酒や煙草に戦時税の記述とJアラート!

酒や煙草に戦時税

【ベルリンにて昭和14年9月5日】

「イギリスの飛行機12台が四日夜北ドイツ上空に現れ、その半数がドイツ高射砲のために撃墜されたといふニュースはさすが落着き払ってゐたドイツ人をびっくりさせた。イギリス人にそんな度胸があったのがかれらには不思議なのである。ベルリンの戦時色は5日からいよいよ強化され、この朝発令された戦時法令によって一切の煙草や種類は即時二十パーセントの戦時税が課せられることになり、さらに五マルク、二マルク、一マルクの銀貨を回収して、その代わり小額紙幣が発行されることになり、またこの日から新聞の用紙節約のためページ数を減らし、ラヂオは『出征兵がもし戦死した場合には直に家族に通知するから通知のない限り無事だと思へ』とか『非常な高空でわが空軍が敵機と空中戦を行ふ場合には、特別に空襲サイレンを鳴らさないこともあるから、もしかゝる空中戦を目撃したものは、ドイツ高射砲の破片を避けるために物かげに隠れること』などと戦争が近づいたことを思はせる告知事項を頻りに放送している。ベルリン市内には五日以来いたるところの広場、大通などに高射砲や高射機関銃の灰色に塗った自動車が幌を掩うたまゝ配置され民衆を刺激している。だがベルリン人はドイツ国境の百%の完全なる防衛陣地を潜ってベルリンに窺ひ寄る敵機が果して幾台あるだろうかなどと、悠々と掛をしてゐる落書きがまだ残ってゐるようだ。」

以上は、昭和四十年四月二十日に、守山義雄文集刊行会編『守山義雄文集』(非売品)のベルリン特派員時代に書かれた、戦争前夜のベルリンの生々しい記事である。彼は朝日新聞大阪本社の特派員としてこの記事を本社に送っている。だが、朝日新聞の縮刷版は東京本社の記事で作成されているので、彼の記事を辿ることは、『守山義雄文集』以外にはない。ここに収録したのは同書の136~137ページである。

昭和十四年当時の記事をそのまま伝えるために、旧仮名づかいはそのままとした。

非常な高空でわが空軍が敵機と空中戦を行ふ場合には、特別に空襲サイレンを鳴らさないこともあるから、もしかゝる空中戦を目撃したものは、ドイツ高射砲の破片を避けるために物かげに隠れること』という部分を強調するために、下線を付した。

ところで、今朝六時半からTBSラジオの「森本毅郎スタンバイ!」を聞いていたところ、臨時ニュースとして、Jアラートがけたたましく、繰り返された。

「北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した。北海道、青森県の上空を通過する際に、ミサイルの破片が落下する可能性があるので、住民の方々は近くの頑丈な建物や、地下に避難して下さい。近くに建物が無い場合は、地面に伏せるか、低い姿勢をとり、被害を防いで下さい」という内容であった。

物陰に隠れるしかないこと、一連の物価値上げで、昭和14年のナチスの政権と岸田政権の奇妙な一致をいぶかしく思っている。

私が『守山義雄文集』のこの文章をすぐに思い出したのは、彼の文集に基づいたひとり芝居『ヒットラー来たり、ヒットラー去る』を2014年6月に、2時間にわたり演じているからである。初演以来8年を経過しているが、いつか再演をしたいと思い、新たな台本を検討しているところだった。

岸田首相は、このニュースに飛び付いて、臨時国会での論戦そらしに利用するだろうことは予想に難く無いが、それを許してはならないと思う。



by kenpou-dayori | 2022-10-04 09:35 | Jアラート


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