2022年12月24日(土)(憲法千話)
憲法便り#6837:軍事ジャーナリスト前田哲男さんの談話;「安保3文書の危険;対米従属下の国家総動員体制」の全文を紹介します!
2022年12月24日(土)付『しんぶん赤旗』日刊紙第3面を引用しました。
【見出し】軍事ジャーナリスト前田哲男さんの談話;「国民議論なく火事場泥棒」
【本文】安保3文書を読み、「たたかひは創造の父、文化の母である」という言葉が脳裏に浮かびました。1934年当時に当時の陸軍省が発行したパンフレット「国防の本義と其強化の提供」の書き出しです。パンフは「国防」を至上命令とし、統制経済を主張し、ファシズムの台頭につながりました。安保3文書もあらゆる分野で軍事動員をはかるという点で酷似しています。
あんぽ3文書をめぐる議論は順序が逆立ちしています。本来はまず3文書を国民に提示し、世論の動向を見ながら国会で論議し、「専守防衛」に照らして個別兵器の導入を検討すべきです。しかし、今回の3文書は憲法との整合性も図らないまま敵基地攻撃の保有を決めるなど兵器の購入ありきです。ロシアによるウクライナ侵略や中国脅威を逆手に取り、閣議決定だけで決めるのは、火事場泥棒と言わざるを得ません。
国家安保戦略は「専守防衛の感え方を変更しない」と言及しますが、全く説得力はありません。12式地対鑑ミサイルは、間違いなく憲法が禁じる「攻撃的兵器」です。ましてトマホークは「中距離ミサイル」に分類されるもので「専守防衛」の逸脱は明らかです。
安保3文書は、抑止力一辺倒の立場に立っています。「抑止力強化」のために軍拡すれば、必ず軍拡競争を引き起こします。中国の軍事的動向を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置付け、これまで以上に敵視していることも重大です。
安保3文書が行きつくさきは何か。冒頭の陸軍省のパンフが示唆しています。パンフ発行の3年後に起ったのが日中全面戦争であり、その後、日本は破滅への道を突き進みました。そうさせないために、軍事に頼らず平和外交にかじを切るべきです。
【岩田からのコメント:「『たたかひは創造の父、文化の母である』という言葉が脳裏に浮かびました。1934年当時に当時の陸軍省が発行したパンフレット「国防の本義と其強化の提供」の書き出しです。パンフは「国防」を至上命令とし、統制経済を主張し、ファシズムの台頭につながりました」という部分は、ナチスの政策と重なります】