2022年12月26日(月)(憲法千話)
憲法便り#6840:2022年12月8日(木)付『しんぶん赤旗』日曜版第10面に掲載された「シルシのぶらり探訪」が伝える、千葉県館山市にある「東京湾要塞の戦跡群」を紹介します!
房総半島の南西、東京湾入口に位置する千葉県館山市。アジア・太平洋戦争中、首都・東京を守る東京湾要塞の拠点だった館山には、多くの戦争遺跡があります。
1923年の関東大震災で隆起し、浅瀬になった館山湾を埋め立てて、30年に館山海軍航空隊が置かれました。通称「陸の空母」と呼ばれ、艦上攻撃機の離発着訓練や、海軍初の落下傘部隊の降下訓練などが行われました。現在は、海上自衛隊館山航空基地として使用されています。
その南側の小高い丘に、網の目状に掘られた総延長約2キロの赤山地下壕跡があります。250メートルほどが一般公開されていて、ヘルメットをかぶり、懐中電灯を手に見学しました。
説明板を読みながら奥へと進むと、壕内には発電所、応急治療所、航空機部品の格納庫などがあったようです。当時、神格化されていた天皇・皇后の写真・御真影を安置した奉安殿もありました。
凝石灰質砂岩の壁面には、丁寧に掘られたツルハシの跡が鮮やかに残っています。館山は、国内で最も隆起の速度が速いと言われ、見事なバウムクーヘン状の地層や断層が観察できます。貴重な地質遺産でもあります。案内してくれたのは、平和学習の普及に取り組んでいる、NPO法人安房(あわ)文化遺産フォーラム共同代表の池田美恵子さん。「赤山地下壕については資料がほとんどなく詳細は不明ですが、日米開戦前から掘っていたという重要な証言があります」。壕内の壁面には「USA」という朱文字が残っています。「占領軍が書いたと思われます」と池田さん。
地下壕近くには、空爆から戦闘機を守るコンクリート製の格納庫・掩体(えんたい)壕も1基残っています。敵機から発見されにくいよう、河岸段丘(川沿いにできた階段状の地形)を利用しているのが特徴です。上空を海上自衛隊のヘリコプターが、爆音を立てて飛行しています。ちょっと心がザラつきました。
池田さんは「館山は戦跡だけでなく、江戸期建立のハングル四面石塔や従軍慰安婦の碑など、平和の文化を学ぶ史跡がたくさんあります」と語ります。
同NPO法人では毎月第1日曜の午前に、個人や小グループを対象とした、赤山地下壕ガイドサービスを行っています。10人以上の団体対象のスタディーツアーもあります(要事前予約)。
夜、地魚で一杯ヤリマシタ。ナメロウ(アジのたたき)が美味でした。館山では東京湾越しに富士山が見えるそうです。 ツルノカズヒコ
【岩田からのコメント:2005年8月15日に「九条の会安房連絡会が主催する『戦後60年』終戦記念日・平和の集いの招かれ、目の前に海が見える館山商工会館で憲法講演を行ったことがあります。池田美恵子さんも関係者のお一人で打合せの会に参加し、講演を聞いて下さったと記憶しています。主催者の方の案内を受けて、「赤山地下壕」を見学しています。講演会には、逗子市在住の娘夫婦が、わざわざ講演を聞きに来てくれたことも懐かしい思い出です。】