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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2022年 12月 31日

憲法便り#6848:緒方副委員長に聞く全5回を読んでの感想!

2022年12月31日(土)(憲法千話)

憲法便り#6848:緒方副委員長に聞く全5回を読んでの感想!

第一に、欧州の左翼党・進歩的勢力の活動の現状が手に取るように分かった。

第二に、その結果、欧州の左翼党・進歩的勢力との共同の重要性をはっきりと認識した。

第三に、私自身が欧州の左翼党・進歩的勢力に関して、長い間思考停止状態にあったことを気付かされた。

私は、全5回の連載が『しんぶん赤旗』日刊紙の読者にだけ知られているのでは、あまりにももったいないと思い、全文の文字起こしを行った。その結果、この連載の当事者、赤旗編集局の担当者以外に、最もよく理解しているものと自負している。

この感想を『しんぶん赤旗』に投稿しても掲載されるかどうかは判らないので、本年最後の今日、『憲法便り』で公表することとした。

第1回から第5回までの内容を次に紹介しておきたい。

 

2022年12月27日(火)(憲法千話)

憲法便り#6841:「欧州左翼との連帯求めて 緒方副委員長に聞く◇1◇“時宜得た訪問”大歓迎」を紹介します!

 11月の欧州訪問と、12月の欧州左翼党大会(オーストリア・ウイーン)に、ともに日本共産党代表団の団長として参加した緒方靖夫副委員長・国際委員会責任者に、どんな活動をして、各党とはどんな話し合いが行われたのかを聞きました。

 11月7日から16日まで、フランス、スウェーデン、ドイツ、オランダ、ベルギー、オーストリアの6カ国を訪ね、左翼・進歩政党と会談しました。一行は私と小島良一国際委員会委員、米沢博史国際局員。会談は担当別に2人チームで行い、もう一人は別の活動にあたりました。

 9日間で6カ国と超過密な訪問で、苦労は移動でした。搭乗する飛行機が一つでもキャンセルされたら予定が壊れる“ガラス細工の旅”でもあったのですが、予定通り終えることが出来ました。

 訪問したのは中立国のオーストリアを除き全て北大西洋条約機構(NATO)加盟か加盟申請国です。会談は」8党と行い、欧州左翼党の議長、そのシンクタンク「トランスフォーム欧州」理事(次期欧州左翼党議長)、オーストリア第2の都市グラーツ市長(共産市政)と会談しました。別筋として、オーストリア外務省の軍縮局長とも会談しました。

 私たちは、どこでも“時期といいテーマといい、実にタイミングのいい訪問となっている”と大歓迎されました。

 発達した資本主義国ならではの党活動、選挙、宣伝活動でSNSをどう活用しているかなどで話が進み、ウクライナ戦争の分析や見通しなど、世界情勢でも多面的な意見交換ができました。

 欧州では、極右の台頭が著しいのですが、日本の侵略戦争美化の動きは驚きを持って受け止められ、逆に、私たちが日本の異常さを再認識する場面もありました。

 ジェンダー平等の実践のしかたや、気候変動問題への取り組みは、先進的であり、詳しく活動を聞くこともできました。

 ”相互理解と学び合い”の精神で、多くのテーマで多面的に意見交換し、今後どう協力を強めるかについて大いに意気投合しました。

 互に共通した探究を知り、「なんだ、同じことを考え、やろうとしているのだ」と顔を見合わせることもしばしばでした。互いの試行錯誤、日夜の苦労を知り合うことがいかに有益で必要かを痛感しました。(3面につづく)

1面のつづき

 党関係では、以前から関係があったフランス共産党、スウェーデン左翼党、ドイツ左翼党とは関係を活発化しようということになり、初接触の左翼政党「服従しないフランス」とは、関係の確立を確認しました。接触はあったのですが、今回初めて公式に会談したオランダ社会党、ベルギー労働党とは関係確立で合意しました。

 さらにオーストリア共産党と友好関係を確認しました。この党は、わが党の第12回大会(1973年)へのメッセージをソ連の圧力でキャンセルした経過があったのです。今回会談した元党議長からは、当時はチェコ事件を批判し、ソ連の介入で指導部が入れ替えられた中で起きたものだったとの説明があり、事情を理解しました。

 この党は、翌月の欧州左翼党大会の関係党となり、私と会談した元党議長が欧州左翼党の新議長となりました。活発に交流し、わが党との関係が一挙に進みましたね。

 課題の共通点多い

 わが党の第28回大会(2020年)で改定した党綱領では「発達した資本主義国での社会主議的変革は、特別の困難性をもつとともに、豊かで壮大な可能性をもった事業である」、「社会主義・共産主義への大道である」との展望を示しました。これは欧州の諸党との国際連帯を示すものでした。

 ただ、文書上の研究はしても、新型コロナのため実際の交流は進みませんでした。今回の訪問の契機は、党創立100周年記念講演(9月)での「欧州の左翼・進歩政党との交流と協力の新たな発展」を進めるとの提起でした。

 各党との会談では、訪問目的として、正面からこの課題を提起したところ、すべての党から「こちらこそ望むところ」と歓迎されました。どの党も苦労は共通していて打てば響いて話が広がりました。

 話し合ったテーマでは、支配層に圧倒的に有利な政治・経済・社会・メディア状況のもとで、選挙を通じて国民の多数を獲得するための戦略とか、格差と貧困を拡大する新自由主義への有効な対案、また、資本主義を乗り越えた未来社会への魅力ある展望をいかに示すかなどでした。

 1万キロも距離を隔てる欧州とアジアでは活動条件に違いがあります。でも発達した資本主義諸国で活動する左翼・進歩諸党には、活動方法にも直面する課題にも共通点が実に多い。多数の国民の支持を得て社会変革を進める、発達した資本主義国における左翼政党として困難はあるけれど、大きな可能性のある壮大な事業に取り組んでいるという強い連帯を感じました。

 東西で軍拡反対を

 欧州と日本での情勢の展開により、今回の訪問はより意義深いものとなりました。

 各党との会談で、私たちは次の2点を述べました。

 まず、ロシアのウクライナ侵略戦争が続くもとで、国連憲章と国際法に基づく国際秩序の回復と強化、平和のためのたたかいが今ほど重要な時はないこと。

 第2次世界大戦後、特にソ連崩壊後、欧州で戦争が起こることはないと信じられてきました。そこで起きた戦争に衝撃が走りました。ロシアの脅威に対して政府提案の軍拡が通りやすい下で、各党は苦労しつつ、力強く反対のたたかいを進めています。

 日本では、岸田首相がこの6月に開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に日本の首相として初めて出席し、NATOとの協力強化を約束しました。日本政府は5年以内に国内総生産(GDP)比2%の軍事費達成というNATO基準の目標を設定。米国は、日本に大西洋同盟への一層の関与を促し、NATOにもアジアへの関与強化に圧力をかけている情勢だと指摘しました。

 私は、「日本と欧州の支配勢力が軍事・政治経済の支配ネットワークを強化しているときに、日本と欧州の左翼・進歩勢力は、連帯と協力関係をさらに強化することは至上課題だ」と強調しました。

 この提起はピッタリはまり、共同強化の強い合意ができました。フランスの2党からは、東アジアでの欧州の軍事プレゼンス強化に反対する共同をしようという具体的な提案がそれぞれ出されました。

“先には先が」ある”

 欧州では極右勢力の台頭が顕著です。イタリアでは、極右が議会で多数を占め、首相に選出されたばかりで、その衝撃の余波が感じられました。

会談した諸党は、事態は危機的だが、まだピークではないとの分析で、重要な闘争課題に位置づけられていました。

 事情は異なるものの日本では自民党内で、日本の侵略戦争と植民地支配を美化する右翼的な歴史修正主義の流れが強まっています。

 ヒトラーとムソリーニと同盟した日本軍国主義を肯定・美化する事態を紹介すると、「信じられない」「なぜ法的に規制しないのか」などの声が上がるほど驚かれました。欧州では多くの国で、ヒトラーやその象徴の宣伝は法律で禁止されているのです。「日本の右翼の主張は、欧州の極右よりもファッショ的ではないか」という指摘もありました。

 欧州と日本で、右翼・極右勢力に対抗するために、経験を交流し、共同することが合意となりました。

 そうした議論のうえで、私から、次の五つの課題で共同して取り組んではどうかという提案をしました。それは、①国連憲章に基づく戦争反対と平和秩序の擁護②軍事ブロック・軍事同盟反対③核兵器の廃絶と核兵器禁止条約の推進④気候正義⑤ジェンダー平等です。

 その際、ロシア、中国を国際社会から排除しようとする動きについて、「覇権主義には厳しく対応・批判するが、包囲するとか、排除の試みには反対であり、包摂する対応が求められる」と述べると、「それは正しい」、「批判するが包摂するは公平な政策だ」という強い賛同の声が出ました。

 ジェンダー平等では日本社会の後進性を説明し、党の取り組みや努力とともに「私たちは、認識を高める努力をしているが、性差別、性的偏見を完全に免れてはいないと自覚しており、あなた方の政策や実践に学びたい」と率直に述べました。このテーマでスエーデンの代表は、こちらの求めに応じた発言の最後に「自分たちの取り組みは途上にあり、まだ目標には遠いのだ」と語りました。私は“先には先があるものだ”と印象深く聞いたのでした。(第1回入力作業継続完了)

*第2回へつづく。

2022年12月28日(水)(憲法千話)

憲法便り#6842:互に心をかよわせて、どう対案を示すか探究、五つの課題 全面的賛成、「赤旗」報道にざわめき!緒方副委員長に聞く第2回を紹介します!

2022年12月26日(月)付『しんぶん赤旗』日刊紙第4面を引用しました。

 欧州の左翼政党は、欧州議会で左翼会派を組むなどして日常的に関係が濃く、互いによく知り合っています。私たちの党は地理的に離れ接触の機会は制約されています。それでも、1970~80年代、私たちの党と欧州との交流は頻繁でした。ですから年配の幹部は、日本共産党について、ソ連と中国と大論争をした党、大きな機関紙を持つ党などと知っています。しかし、若い人にはほとんど知られていません。

 他方、欧州の共産党の中には、ソ連に対する自主性にまつわる過去への思いとそれを克服する苦労があるようです。このことを私たちも知っておき、こちらから積極的に話そうというイニシアチブが大事だと思いました。

 私たちは、今日の情勢下で共通した志でたたかう党同士であり、対等な立場で意見交換を率直に行うことができました。私たちの党が、党勢拡大の期間を設けるなど党建設での苦労と対応を紹介すると、好感がもたれました。それではと先方から、政策上、組織上の苦労が語られました。苦労を共有し心が通い合っている実感があり、うれしかったですね。

どう対案を示すか探究

 欧州の諸党からは、新自由主義への国民的な怒りで社会運動は盛り上がるが、党がそれに応える魅力ある対案を見いだせていないとか、極右は左翼が最も注意を払うべき貧困層を基盤としているのに有効な対策を得られていないとか、難民問題で社会正義の立場から受け入れの政策を掲げても、有権者に響かないなどが率直に語られました。

 さらに、ロシア脅威論を背景に軍事的対応に傾く政府に外交的対案を提起するが、有権者の心をとらえにくくなっているとか、大きかった平和運動がソ連崩壊後に弱体化し、肝心な今有効にたたかえないという反省点が出され、活発な日本の平和運動がどれだけ貴重なものかといわれたことを重く受け止めました。

五つの課題 全面的賛成

 フランス共産党のピエール・ロラン全国評議会議長は、7年前に日本を訪問、志位委員長と会談し、その後原水爆禁止世界大会に参加しており、旧知の間柄です。彼は、「現在の世界における軍事化、戦争の危機の増大があり、私たちが共同を強めるのは非常に重要だ。あなた方のイニシアチブに感謝する」と述べました。

 ロラン氏は、核兵器禁止条約第1回締約国会議にフランス政府のオブザーバー参加を要求したが、政府が拒否したもとで国会議員として同会議に出席したと語りこの条約の促進で協力しようと強調しました。

 フランス共産党は70年代に、フランスの核保有容認の政策を打ち出したことがありましたが、とっくにそれと決別しており、今日の立場は明確です。「提起された五つの課題に全面的に賛成する。自分で作っても同じ提案になる」とまで語りました。

「赤旗」報道にざわめき

 次に会談したのは、2016年に創立され、フランス左翼の第1党になっている「服従しないフランス」。ジャンリュク・メランション代表は4月の大統領選挙で第3位、2位に1・3ポイント差まで迫りました。直後の国民議会選挙で共産党などと左翼連合を組み、現在国会内で左翼連合傘下の会派が共同しており、左翼連合が機能しています。

 メランション氏は、会うなり「今朝からこの時を待ちかねていた。今日は特別な日だ」「国民議会議員団団長、5人の議員と迎えているように、この会談を特別に重視している」と歓迎の辞を述べました。

 「アジア諸国と地に足の着いた友好関係を形成したいと考えており、日本共産党都の関係を非常に重視している」と語りました。

 私から、「しんぶん赤旗」は先の国民議会戦で当選したラシュレ・ケケ議員(コートジボワール出身で、パリのホテルの清掃係)に注目し、選挙の前、最中、後と3回にわたり特派員記事を掲載したので、ケケ議員は、読者の間でよく知られていると紹介。議員団長はじめ議員の間からざわめきが起きました。

 事前に、党史、国際路線、東アジア情勢、原発など彼らの関心事についての質問があり、文書で回答していました。メランション氏はそれを読み、私の発言を聞いた上で「われわれの党はわれわれの党はマルクス主義ではないが、自主独立と非同盟は、日本共産党との共通点だ」と指摘しました。

 さらに、侵略性を強めている国々により、戦争の危機が世界化しようとしているときに、平和のために力を合わせようと強調しました。

 最後に、資本主義を擁護する側がよく組織されているのに対し、労働運動や進歩的な運動には、結束が欠如している、左翼の共同を強めるために課題別の共同も含めて検討すべきだとの提起がありました。

 先方からは、福島原発事故の放射能汚染水海洋放出への懸念が提起され、脱原発での共同を進めることも確認されました。

(第2回入力作業完了)

*第3回へ続く。

緒方副委員長に聞く第3回

2022年12月29日(木)(憲法千話)

憲法便り#6843:ジェンダーから外交まで、平和と気候で協力の提起、視聴覚を駆使した会談;緒方副委員長に聞く第3回を紹介します!

2022年12月26日(火)付『しんぶん赤旗』日刊紙第4面を引用しました。

 スエーデン左翼党のマルタ・アギーレ国際責任者は、ロシアの侵攻により、中立・非同盟の伝統の国で世論がどう一変したかを生々しく語りました。

 連立を組んでいた社会民主労働党が北大西洋条約機構(NATO)加盟申請を提起すると左翼党は、「加盟は国をより危険にする」、「国際安全保障は、国際法、国連のもとグローバルであるべきだ」と明確な反対を表明しました。

 9月の選挙後、極右の支援を受けた右翼政権が発足し、首相が米国の核兵器の領土内への配備容認発言をするなど、NATOへの傾斜が大きく強まっていると指摘。ロシアの侵略前は、NATO問題は抽象的で低調な議論にすぎなかったが、戦争後は、具体的な脅威に変わり、脅威というシンプルな「根拠」で、軍事費の大幅増額など何でも通るがごときだと強い懸念を表明しました。

 左翼党は、それまで反対だった武器輸出・供与は、隣国フィンランドへのロシア侵攻があったら反対できないとの理由で容認。軍事予算のGDP比2%への増額も条件付きで賛成した苦悩の対応を語りました。

 私からは、ジェンダー平等の歴史経過を聞きました。戦後から1960年代まで、”パパは新聞を読み、ママは料理する”といった男女の役割における固定的で遅れた実態があったが、60年代から70年代に女性解放運動が高揚する中で、覚醒が進み、保育所の大幅増設、男女の賃金格差是正、男女の育児休暇義務制が実施され、86年に平等法でき、コータ制で促進されたとの説明を受けました。

 私が80年代前半に左翼党大会取材でクオータ制の議論を聞いた体験と符号しました。国会議員の男女比が半々なのは、選挙が比例代表制で、左翼政党が率先して候補者リストで女性・男性を交互にする慣行を開始し、流れができたと語っていました。左翼党の国会議員24人中女性は17人と7割を占め、党執行委員会の7割が女性で、党首も女性です。

 

平和と気候で協力の提起

 ドイツ左翼党のウルフ・ガレルト常任幹部会委員・国際委員会責任者は、ドイツ革命運動の由緒ある党本部で迎えるなり、「私たちは歴史的な岐路にある。左翼・進歩政党の協力強化はきわめて重要だ」と切り出しました。

 ウクライナへのロシアの戦争について、ロシアの侵略は想定外だったが、それは、ロシアの歴史を背景とする帝国主義の現れである。NATOが今回のロシア進攻の直接の原因とはみなしていない」と述べました。

 先方からは、▽平和問題と気候変動の問題は深く関連しており、両課題で協力したい▽アジア・太平洋地域に視野を広げる上でも重要な両党の関係の再活性化を具体化したい―との提起がありました。

視聴覚を駆使した会談

 オランダ社会党とは、訪問準備のためにオンラインで2度にわたり会談。空港で出迎えてくれたブラウン国際委員とはアメルスフォードにあると本部まで早速、列車内会談となり、ベルギー労働党とは、非常に親しいとの説明がありました。両党は出自が似ていて

70年代創立の元毛沢東派の党です。ともに長く泡沫(ほうまつ)政党で、0・数パーセントまで得票を落としました。

 オランダ社会党はそのもとで、「毛沢東語録」を教材にした教条主義を拒否し、「マルクス主義」を理論的基礎にしつつ国民の中に入り、国民の抱える問題を解決する方向を追求していきました。国会に初めて議席を得たのは94年。解散したオランダ共産党に代わって左翼の位置を占めています。

 フクストラ書記長は会談の冒頭から50周年を迎えた党の歴史、党活動を短い動画でプレゼンテーション。視聴覚を駆使した外国との会談は新鮮でした。

 宣伝と選挙はSNSを戦略の中心に据え、200人収容のホールの一角にあるスタジオでプロ級の動画を頻繁に制作しています。宣伝は、誰もが理解できる言葉でシンプルが方針と説明しました。

 書記長の案内でハーグに場所を移し、元キャリア外交官で党政治・外交顧問のミシェル・ファン・バンデン氏らと安保外交問題での会談となりました。彼は、その日、オランダ国会に、現在GDP比1・65%の軍事予算を4割増やす法案が提出されたとの生々しい議会報告から始めました。

 バンデン氏が述べた主な点は次のようなものでした。▽NATOは、「民主対専制」という図式で世界の分断をはかるが、独断的な誤りだ▽排除の論理に反対し包摂的なネットワークを強化しよう▽政府は国会の議決によって核兵器禁止条約締結国会議にオブザーバーを派遣し、政府から国会に報告書が届き、重要なステップを経た。核抑止論の誤りを強調していこう―。

 私から、「欧州安保協力機構(OSCE)という合意がつくられていたのに、戦争が起きたが」と問うと、「政府間上層の合意で、欧州各国の国民間に根ざしていない脆弱(ぜいじょく)性があった」と述べていました。

 深夜までの3時間の意気投合は「忘れえぬハーグの夜」となりました。

(第3回入力作業完了)(12月29日午後8時15分)

*第4回へつづく。

緒方副委員長に聞く第4回

2022年12月30日(金)(憲法千話)

憲法便り#6844:大陸を超えた共同を提案、反核と反原発は国是、欧州左翼党大会での発言;緒方副委員長に聞く第4回を紹介します!

2022年12月27日(水)付『しんぶん赤旗』日刊紙第4面を引用しました。

 ベルギー労働党が国会で初議席を獲得したのは2014年のことでした。19年総選挙で10議席増の12議席(下院=定数150)と躍進し、欧州議会にも議席を持っています。

 ペーター・メルタン書記長は会談の冒頭、「発達した資本主義国で活動する日本共産党と多くの共通点がある。私たちにも相互に学び合うことを基礎に日本共産党との関係確立を喜び、あなた方の経験を学びたい」と述べました。

 08年に毛沢東流の教条主義とは絶縁し、その後14年間、原則的で確固とした党であるとともに、柔軟で実践的な党であることを二つの核心として改革を進めたと説明。「以来、前進のみです」と左手で上昇を描いて見せました。あらゆる問題について何を望み、どう感じているのか、どのように働きかけたらよいのか、草の根の活動とともに議員がどう活動するか絶えず検討してきたといいます。

 欧州の心臓部にあるベルギーは、単独では社会主義を実現できない、展望は大陸的であり、欧州の現実を重視している、また、ウクライナ戦争の平和的な解決の模索は、欧州の自主化のたたかいでもあると語りました。

 党本部の1フロアはまるまる宣伝部門に充てられ、短い動画の活用などSNSの戦略的重視は、オランダ社会党と似ていました。また、「レッドフォックス」という名の中高生対象の青年同盟と「KOMAS」という名の青年同盟の事務所も党本部内に置かれ、放課後に立ち寄った生徒が、ポスターやイラストを楽しそうに作成していました。その一人は、「作品を党が使ってくれるのがうれしい」と言っていました。

反核と反原発は国是

 訪問国の中で唯一中立国のオーストリアで、オーストリア共産党全国指導部のカテリーナ・アナスタシア氏に「現在の右寄りの政府とたたかっていると思うが、核兵器廃絶や反原発での政府の役割をどう評価しているのか」と率直に聞きました。彼女は、「核兵器廃絶や核兵器禁止条約に関して政府は積極的な役割を果たし、原発反対を維持している。それは社会の大きな賛同を得ている」と述べました。

 外務省軍縮局長のクメント大使と会った際に、「なぜオーストリアは、核兵器廃絶などグローバルな課題に貢献できるのか」と聞きました。大使は、「わが国は1955年以来、憲法で永世中立を規定している。ソ連と北大西洋条約機構(NATO)に挟まれたオーストリアの経験は、多くの核兵器を保有する隣国を持つ小国というもので、転倒的に、国際法、多国間条約、多国間機関とリンクした強力なオーストリア外交があった」と語り、外交・安保政策がつねに国際的な対話、軍縮とリンクしてきた歴史的背景を説明しました。

 オーストリア共産党のワルター・バイヤー元議長は、党の困難な歴史について、「60年代に党は、後にユーロコミュニズムと呼ばれる路線を他党に先駆けて採用した。ソ連のチェコスロバキア侵攻(68年)を批判した後、東ドイツとソ連が介入し、改革路線を支持した多数の知識人、青年が離党して、党は大打撃を受けた」と語りました。ソ連の覇権主義の害悪に改めて感じ入りました。

欧州左翼党大会での発言

次に、欧州左翼党の第7回大会への参加ですが、大会は12月9~11日にオーストリアのウィーンで開かれ、田川国際委員会事務局長、吉本博美「しんぶん赤旗」欧州駐在記者とともにゲストとして参加しました。

 欧州左翼党は2004年に結成され、23カ国から25党が加盟し、12党がオブザーバーとなっている欧州規模の左翼・進歩政党です。

 私の発言では、先の欧州訪問で実感した学び合いの精神や連帯感を述べた上で、5点の共通課題の中で、特にアジア政党国際会議総会での経験を踏まえて、私たちの党の立場について「危機に乗じて軍事ブロックを強化するあらゆる試みに反対します。仮想的に軍事で対抗し排除していくのではなく、包摂していくことが重要です」と強調しました。

 そして、軍事ブロック強化と軍事費増大に反対する課題で、欧州左翼党と日本共産党との間での共同を提案しました。

 この提案について、バイアー次期議長に率直に話しました。ユーラシア大陸の東と西で、軍事ブロック強化と軍事費増大という類似した情勢が展開しており、それへの反対を共同で進めたいと。すると、バイアー氏は、それは”トランス・コンチネンタル(それぞれの大陸を超えて)の共同だ”と言い換えながら、全面的に賛成すると述べました。

 バイヤー氏は、閉会を兼ねた就任演説で、世界と欧州にとっての脅威は軍拡、特に核軍拡競争だ。軍拡は暮らし、環境を破壊する。有害な軍事費増大のストップ、削減をと訴えました。欧州の安全は、NATOでは決して作れないと軍事ブロックの有害性を強調し、欧州の平和のための貢献となる核兵器禁止条約を批准し平和の道を築こうと呼びかけました。(第4回の入力作業完了)(午前9時五分)

*第5回へ続く

20221230)(憲法千話

憲法便り#6845:欧州との連帯で新境地を、「雇用のヨーコ」大ブーム、アジアと欧州が見える;緒方副委員長に聞く第5回を紹介します!

2022年12月29日(木)付『しんぶん赤旗』日刊紙第5面を引用しました。

欧州左翼党の大会終了直後、私はバイヤー氏に議長就任のお祝いとお礼を述べました。彼は、「就任演説で、軍事ブロック反対、軍事費増大反対を強調しました。また欧州中心主義を排して、世界との連帯を進めようと述べたのは、日本を含めてです」と、双方の共同を強めたいと語りました。

私が「それは国際平和のためとなる」と述べると、彼は「こうしたたたかいを通じて世界の平和秩序、国連憲章に基づく秩序を回復し、強化するためにともに力を合わせましょう」と話を締め、波長の合うテンポのよい対話となりました。

大会で採択された政治文書には、「より公正で平和な世界は軍事同盟ではなく、政治的な合意で築かれるべきだ」「欧州のあらゆる国での劇的な軍事費増大をストップしよう」「欧州連合(EU)は核兵器禁止条約を批准すべきである」と明記されました。

帰国後、バイヤー議長から届いた手紙には、” 欧州左翼党は日本共産党と連帯の精神で結ばれており、関係発展のために全力をつくしたい”と書かれていました。誠実に合意を進めたいとの思いを新たにしました。今後、欧州左翼党や各国の参加政党との共同、トランスフォーム欧州との研究分野での協力を進めることになりました。

大会では、フィンランド左翼同盟のハグランド書記長が、正式加盟からオブザーバーに資格を変更すると発言しました。左翼同盟が連立を組む政権の北大西洋条約機構(NATO)加盟申請に党の賛否が分かれ、反対を打ち出せなかったためでした。

参加者は、「正直に話したい」と訴える彼女の苦悩を理解し、「見通せる将来にNATOの外に出たい」「欧州左翼と共にありたい」と結ぶと連帯の拍手がおきました。

この出来事は、NATO加盟は、欧州左翼党の一員とは両立しないことを示しました。

「雇用のヨーコ」大ブーム

 大会への参加は300人規模でした。同じホテルで食住を共にし、合宿同様です。私たちは、多くの党と活発に交流しました。

ギリシャの急進左派連合(シリザ)との会談には、ポウンナス国会議員・影の内閣外相、カトロウガロス国会議員・元外相ら5人が出席。ポウンナス氏は大会発言の冒頭で、「6年間の野党の時期を経て、次の総選挙では勝利して政権に復帰する」と宣言しました。

国内情勢と地域の情勢を話し合い、互いの対外政策に共通性があることを確認。シリザとの会合は私にとっては、キューバのフィデル・カストロ元議長の葬儀の際、当時首相のチブラス氏と話して以来6年ぶりでした。ズームなどによる気軽な意見交換をもっと頻繁に、と約束しました。

スペイン共産党を中心とする政党連合「統一左翼」のシラ・レゴ欧州議会議員との会談は、党勢、国内情勢、米軍事基地問題、対外関係と多岐にわたりました。社会労働党との連立政権に参加しているもとで、軍事費は増加したが、かなり抑えた。われわれの圧力の結果だ」と自負していましたが、与党の苦労が察しされました。

フェミニズムについて聞くと、レゴ氏は「よくぞ聞いていただいた」と前置きし、経過、現状を述べたうえで、「単なる権利の発展・拡大の提案だけではなく、現状に代わる全体的な対案の社会を示す提起となっている」と語りました。

レゴ氏は、「最近、とてもいいキャンペーン・ビデオを見た」といってスマホを取り出し、私たちの党の公式キャラクター「雇用のヨーコ」の動画を示しました。「どこで知ったの」と聞くと、「モンテロ平等相のコーディネーターが見つけて教えてくれた、大きな話題になっている」と語ってくれました。

「雇用のヨーコ」は、欧州大きなブームになっていました。

参加政党の友人から口々に「この動画はすごい。傑作だ」との声。誰が作製したのか、次作の予定は、党の宣伝戦略での位置付けは、など矢継ぎ早の質問に、「能力を超えている」と、担当者との直接対話を勧めました。「交流は動画から始めよう」とのズーム会談の申し入れもありました。

アジアと欧州が見える

日本共産党は24年前に「相手が保守であれ革新であれ、与党であれ野党であれ、交流の意思がある政党、政府とは大いに交流を行い、一致点で協力する」という基本原則を定め、それに基づく野党外交は党の視野を広げ、世界の見方を深めてきました。

イスタンブールで開かれたアジア政党国際会議と、ウイーンでの欧州左翼党大会という二つの会議を通じて、私たちはアジアと欧州がよく見える位置にと気づかされました。確かに、アジアに属していますが、発達した資本主義国として欧州の諸党と同じ家族です。世界で起きている逆流に抗して、平和と進歩のために両大陸が連携する上で、日本共産党にはしかるべき役割と責任があります。欧州左翼との協力強化は、党の社会変革の事業に直結する、格別に重要で親近感のもてる事業です。野党外交は新しい境地を開いており、これを端緒に今後の発展を期したいと思います。

(全5回入力作業完了)(2022年12月31日午前5時50分)



by kenpou-dayori | 2022-12-31 20:28 | 日本共産党への期待


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