2023年3月26日(日)(憲法千話)
憲法便り#6921:強度行動障害のある子ども(上)サービス断られ「しんどい」を紹介します!
2023年3月18日(土)付『しんぶん赤旗』日刊紙第13面を引用しました。
強度行動障害のある子ども
「『早く親も子も自立しなくちゃ』と思うけど、同級生の親と話すと『今のままで良いのかも』と気持が揺れ動く」。重度知的障害と強度行動障害のある男性を介護する母親は、心境を吐露します。成人した障害のある子どもを介護する親の願いは―。
(津久井佑希記者)
大阪府大東市の障害者通所施設を訪ねると、男性(21)は鬼の顔の貼り絵を作っていました。しばらくすると音楽が鳴る電子玩具を手に、部屋の中を歩き始めました。職員が席に着かせようとしますが、なかなか座ろうとしません。
音にこだわり(中見出し)
音にこだわりを持ちます。他人が出す音は嫌いですが、自分の出す音は好き。ペットボトルの空き容器などをたたきます。
男性は、歯が生える前からかみつき、”寝ない”子どもでした。今も発話がなく、言葉による意思疎通が困難です。「子育てがつらかった」。母親の西田よし子さん(47)=仮名、同市=は振り返ります。
男性と夫、軽度知的障害のある次男(16)の四人暮らし。夫もトイレや入浴などの世話をしますが夜勤があり、主に西田さんが担ってきました。「体が大きいので本当にしんどい」
入浴時に介助者が浴室に入ると、男性は怒ります。跳びはねたり、じだんだを踏んだりして浴槽にひびが入ったことも。パニックを起こすと、自身の手をかんだり回りの人の髪や手をつかむこともあります。
ベッド破壊で(中見出し)
約3年前に体験したショートステイ(SS)では、ベッドがうれしくて飛び跳ね破壊。以降、利用を断られています。別のSS水槽を倒そうとしたため、やはり断られました。
障害福祉サービスを使うには、利用者が事業者と直接契約を結ぶ必要があります。それにより、サービスを利用したくても事業者から断られる事例があります。
強度行動障害に関する厚生労働省の自治体調査(887回答)によると、「利用を希望・増やしたいサービス」との問いに、入所施設との回答が最も多く、グループホーム、SSと続きます。
「障害福祉サービスを使っていても満たされていないことは」という問いには、「サービスを利用したくても利用できない」との回答が多く、過去にサービスを使用していたが暴力や暴言などの理由で受け入れ拒否されたケースも散見されたとしています。
成人し、体も力も大きくなった男性の介護。「しんどい」と感じる場面が増えた西田さんは、施設入所を考えています。(つづく)
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障害者のいる家族はその介護を一手に担い、孤立しがちな現状にあります。今シリーズ、介護を社会に移し、だれもが人間らしく生きられる社会をめざします。