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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2023年 05月 12日

憲法便り#6971:イタリア労働運動セミナー及び国際労働運動セミナ―秘話;松田博氏の逝去を悼んで!

2023年5月12日(金)(憲法千話)
憲法便り#6971:イタリア労働運動セミナー及び国際労働運動セミナ―秘話;松田博氏の逝去を悼んで!

イタリア労働運動セミナー及び国際労働運動セミナーについて


昨年末に、「気が付けば〇〇になっていた」というテーマで原稿募集が行われていたので、「気が付けば憲法研究者になっていた」という文章を投稿した。
その第7章は、イタリア労働運動、そしてイタリア訪問の旅である
そしてその第1節は、イタリア労働運動セミナー及びその発展形の国際労働運動セミナーについての沿革である。
このきっかけとなったのは、松田博さんとの出会いであり、彼は常に参加していた。この一文を以って追悼の言葉としたい。岩田行雄


第7章 イタリア労働運動、そしてイタリア訪問の旅

第1節 イタリア労働運動セミナー及び国際労働運動セミナーの沿革

私の主要な研究テーマを、15-18世紀ロシアの書籍文化史としてきたが、イタリアへの興味が加わって、「ロシアとイタリア」をもう一つのテーマとしてきた。

イタリアに関しては、1978年に「イタリア労働運動セミナー」立ち上げ、その主宰者として本格的な研究を始めた。その概略は次の通り。第1期から第3期までは月一回のペースで開催したが、第4期、第5期は不定期となり、詳細な記録は残っていない。



1978 1月、第1期イタリア労働運動セミナーとして発足。

     講師:松田博(法政大学講師)9回

     ルチアーノ・ミンゲッティ(イタリア労働総同盟通信員)1回

1979 第2期イタリア労働運動セミナー

     講師:佐藤一子(埼玉大学講師)1回(イタリア)

        ルチアーノ・ミンゲッティ(イタリア労働総同盟通信員)1回

        松田博(法政大学講師)3回

        深沢安博(琉球大学博士課程)1回(スペイン)

        深沢 敦(慶應大学博士課程)4回(フランス)

1980 第3期、国際労働運動セミナーと改称

      (日本の労働運動史、そして革新統一の問題を中心に)

     講師 2月 太田薫(元総評議長)

        3月 中山千夏・矢崎泰久(革自連代表)

        4月 岩井章(元総評事務局長)

        5月 今﨑暁己(ルポライター)

        6月 吉原公一郎(作家)

        7月 中西五洲((統一労組懇代表・全日自労委員長)

        9月 菊地邦作(ジャーナリスト)(『兵役忌避の研究』の著者で、弁護士平山知子さんの実父。

        10月 引間博愛(統一労組懇代表・全運輸委員長)

        11月 金子健太(元世界労連書記)…日本共産党創立大会参加者

*例会は、第3土曜日(午後6時~9時)、会場を世話人の根本氏の住居の近くにある「神宮前青少年の家(原宿)」を拠点としてで開催され、会費は1回千円だった。世話人の根本氏が転居してからは、会場は一定せず、主に高田馬場にある勤労福祉センターで開催した。

1981  第4期 世界各地の運動

         3月7日 山﨑功(ムソリーニ時代の讀賣新聞社特派員)

         3月28日 松浦総三(ジャーナリスト)

              中林賢二郎(法政大学教授)

              阪東宏(明治大学教授)

              ルチアーノ・ミンゲッティ(イタリア労働総同盟通信員)

              その他。

1982  第5期 グラムシ研究

          山﨑 功

          片桐 薫

          島田 豊(東京大学教授)

          大津真作

          その他。


講師に関しては、参加者の意見に基づき、日本の労働運動史、そして革新統一の問題を中心に、依頼する講師の名前を挙げ、主に私が直接交渉を行った。

講演料は、一万円。

 講師 2月 太田薫氏(元総評議長)の講演料の相場は、五〇万円と言われていた。そこで、私は予め電話で予約を取り、合化労連の最高顧問室で直接お目にかかり、これまでのイタリア労働運動セミナーの取り組みについて話をした。講演料は、1万円。
この話に、太田さんは、喜んで応じて下さった。



なお、第5期のグラムシ研究で山﨑功氏を講師に招いた。
この講演後の会食の際、同氏が「肺がん」の診断を受けたことを知り、ご自宅で、松田博氏、後藤実氏と共に聞き書きを行い、153名の方々からのカンパにより山﨑功著『わが回想―イタリアとの六十年』(同時代社、1983年)を「山﨑功先生を励ます会」として自費出版をした。彼は、ムッソリーニ時代の讀賣新聞の特派員としてイタリアに滞在し、ムッソリーニに直接面会した時の写真も残っている。
この本を、山崎氏の要望にしたがって日本共産党の宮本顕治にお届けしたところ、秘書を通じて「昔からの戦友へ」と10万円見舞金が届けられた。
その結果、宮本議長あてに招待状を送ってほしいとの要望があり、
出版を祝う会への、宮本顕治議長が出席が実現した。
この会の司会は私が務め、宮本議長にスピーチの依頼をした。
宮本議長は快く引き受けて下さった。
そのスピーチの中で、宮本議長は「独立共産党ではなく、そろそろわれわれに合流したらどうか」と山崎氏に呼びかけた。そして質問した。「あなた方の党には、党員は何人いるのか」。これに対して山崎氏は「わたくしひとり」と答えた。
このやりとりがあったあと、山崎氏は日本共産党への入党を表明したことを、赤旗が大きく報じた。

同書には、イタリア共産党書記長エンリーコ・ベルリングエール氏、イタリア共産党の幹部で、当時イタリア下院議長だったニルディ・イヨッティ氏(故・パルミーロ・トリアッティ氏の夫人)他、多数のメッセージが寄せられた。

下院議長ニルディ・イヨッティ氏へのお礼の手紙は、知り合いのイタリア人に書いてもらった。私宛に、彼女からイタリア下院議長の用箋と封筒で手紙が来た。
これは、私の「お宝」である。

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表紙

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背表紙
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by kenpou-dayori | 2023-05-12 11:25 | 今日の話題


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