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岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

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2013年 06月 11日 ( 2 )


2013年 06月 11日

憲法便り#50 「笑いのめそう!安倍政権」(11) 『次の一手』

『次の一手』

子分:親分、特売禁止法は通しやしたぜ。
親分:でかした!
子分:次に何をやりやしょうか。
親分:こんだあ、政府批判禁止法だ。
    ぬかるんじゃあねえぞ。
子分:承知しやした」
            ―「壁の耳」
 (新宿区・天才デコポン)

明日は、
○新聞記事編(第10回)
○「笑いのめそう!安倍政権」

※本書『心踊る平和憲法誕生の時代』の注文については、こちらから

by kenpou-dayori | 2013-06-11 08:00 | 天才デコポンが追及する!
2013年 06月 11日

憲法便り#49 昭和20年の憲法民主化世論 新聞記事編(第9回)

「社会党の政策案は『政府、学者のみの憲法改正に反対』」

今日は、五つの記事を紹介します。

ひとつ目は、昭和20年10月17日付『讀賣報知』の一面記事、日本社会党の政策案です。
幣原内閣は10月12日に「治安維持法」廃止を閣議決定し、10月15日に廃止の件を公布します。その結果、日本共産党機関紙『赤旗』の復刊、新たな政党結成の動きが活発化します。『讀賣報知』で報道された時期の日本社会党は準備段階で、正式に結党したのは、11月2日です。

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【見出し】
「政府、学者のみの憲法改正に反対」社会党の政策案
【記事】
十五日の準備委員会で党名、綱領を決定した日本社会党では十六日にも委員会を続開、一般政策の政治、外交、財政、経済、社会、労働、農業諸案について討議の結果、政治、外交の二項を次の如く決定発表した。
◇政治
(一)国民の総意に基く憲法の民主主義化
(二)戦争の原因と責任の究明
(三)枢密院、重臣制廃止、
(四)地域代表、職能代表による二院制度確立
(五)責任内閣制確立
(六)大選挙区比例代表制の採用、満十八歳以上の男女に選挙権、被選挙権付与
(七)行政、司法機構並に官吏制度の根本的改革
(八)地方自治制の民主化=地方長官、市長村長等の一般投票による公選
(九)華族制度の廃止
(十)軍国主義、ファシズム並に官僚主義の絶滅とその復活の防止
◇外交
(一)秘密結社の打破、国民外交の展開
(二)ポツダム宣言に基く国際的義務の履行
(三)国際安全保障機構並に国際労働機関への参加、国際的地位の回復
(四)世界各国の社会主義政党その他の無産階級団体との提携
(五)世界の軍備撤廃、圧政と搾取なき世界恒久平和の確立
右のうち特に憲法改正問題については、内大臣府或は政府と一部学者の連携による改正企図に反対を表明、一般国民の民意を十分くみ入れた真の民主主義的憲法草案を早急に立案すべしと強硬態度を示している。


次に紹介するのは、昭和20年10月17日付の三つの記事です。

『山形新聞』の一面トップ記事
「憲法改正へ民間の要望 政治 外交を公明に 世襲華族の特権排除」

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『北日本新聞』の一面トップ記事
「憲法改正と民間論評 國體基本に“民主要請” 言論の自由を飽迄尊重」

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『佐賀新聞』の一面記事
「新憲法と民間の意見 欲求あがる“自由権” 皇室典範にも修正検討」

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この三つの記事は、見出しに違いがありますが、記事の基本的内容は同一です。『北日本新聞』から文字起こしをしましたが、明らかに誤植と思われる箇所は、『山形新聞』と照合の上、訂正しました。例:予算詮議権→予算先議権、基案→起案
文中にたびたび出て来る「大権」とは、
「明治憲法下、広義には、天皇が国土・人民を統治する権限、すなわち統治権。狭義には、憲法上の大権として、帝国議会の参与によらず、輔弼(ほひつ)機関のみの参与によって行使する天皇の権限」。
また、「輔弼」とは、「明治憲法の観念で、天皇の行為としてなされ或いはなされざるべきことについて進言し、採納(さいのう=とりいれること、とりあげること)を奉請し、その全責任を負うこと。国務上の輔弼は国務大臣、宮務上の輔弼は宮内大臣および内大臣、統帥上の輔弼は参謀総長、軍司令部総長の職責であった」(以上、『広辞苑』より)

【記事の本文】
畏き聖慮に基く帝国憲法改正の議は近衛御用掛を中心とする内大臣府の研究と松本国務相を主任とする政府の研究の二本建で進められているが、さらにこの聖慮の趣きを拝承せる議会側でも貴族院制度調査会および衆議院調査会の両機関で研究に着手することになり、またこれと並行して学界その他民間研究団体においても活発な憲法論議が展開されつつある。憲法改正の事業は平和国家再建の革新段階に対処し、今後の民主主義的な日本の政体を規定するものであるだけに、これに対する関係当局の関心は勿論、全国民もその成行を注視しているのであるが、特に憲法改正の議が帝国憲法の精神に即し、聖上(せいじょう=天子の尊称)陛下の御発意に基いて起され、合法的に国民の研究批判が許され、建前となった今日においては、憲法改正に対して国民の希望なり意見は率直自由に表明せられ、正しき国憲の作案に寄与することが要請されているのである。現在憲法改正に関する民間の有力な意見を挙げると、先づ憲法法典の根本的な改正をはじめとしてこれに付属する貴族院令、衆議院議員選挙法および憲法と併立する皇室典範など国家統治の根本法則ならびに政治の大要に関する諸規則について全面的な改革を絶対に必要としているのであるが、このうち基本たる帝国憲法の各条章に関する改正問題については、次のような点が指摘されている。
一、第三条、天皇不可侵権に関する本条は国民的な感情に合致しており、此精神は無論遵法さるべきものであって、天皇に対し危害を加えるべからざる事、ならびに天皇が政治責任を負わざることの二点については外国の憲法においても当然にそれを認めているのである。しかし本条の精神を敷衍し天皇に対し不敬の発言などを含むの批判が禁止されていることは、いわゆる言論の自由を確立すべきポツダム宣言条章とそぐわないものがあらざるやの見解が米国その他連合国側でも強く唱えられており、天皇の地位を論ずるに当って官憲の不謹慎な悪用によりこれを不敬の発言とこじつけられる惧(おそ)れなしとしない。さきに尾崎行雄しが不法に刑事被告人となったこともこの条章に基くものであって、言論の自由を徹底する論旨において、本条に必要な改正が考慮されている。
一、第十一条(統帥大権)、第十二条(編成大権)、第二十条(兵役義務)
以上三条は、ポツダム宣言履行に伴う陸海軍廃止によって当然廃止の予想さるものである。
一、廃止した方がよいと考えられているものは次の諸条であろう。
(イ)第八条(緊急勅令)
少数官僚が議会の批判を回避するための独善的政治の道具にされ勝ちであり、議会の権限を著しく縮小する規定としてその廃止が予想される。但し真にやむを得ざる場合、例えば内閣全体の責任において勅令を制定し、出来るだけ速かな機会に議会の承認を求める様、条件付緊急勅令を出し得ることとなる。
(ロ)第三十一条(非常大権)、第三十二条(臣民自由権の軍人準行規定)
(ハ)第四十八条(議会の秘密会)
  公開議会である本質に鑑み、一切の秘密会を廃止し、国民に対する政治、外交の秘密をなくするため本条の撤廃が考えられる。
(二)第五十六条(枢密院)
  枢密院は(明治)憲法制定当時の草案審議に関する機能を果した。今日では法制上の疑義を正す事以外ほとんど指令を待たず反対に将来議会を代表する政府を不当に拘束する惧れありその廃止が考えられる。
(ホ)第六十七条(憲法上の大権支出)、第七十一条(前年度予算執行権)
  両条は議会無視の規定のもっとも著しいものであり、政府が予算の協賛を経ずして独断的に前年度予算を踏襲し得る基礎をなすものであるが、外国では第七十一条を第十一条の統帥権と並べて政府および軍閥の力の源泉であり、議会政治を排撃する根拠であるとしている。
一、大巾の修正を考慮されている諸条項
(イ)第九条(執行命令)
  議会の権限を制限し、国民の自由権を剥奪する封建制の基礎となっているもので警察犯処罰令、違警罪即決令等はこれに準拠しているが、かくのごときものは議会の承認を要することに改める。
(ロ)第十条(官制大権、任免大権)、第十三条(外交大権)、第十四条(戒厳宣告の大権)、第十七条(摂政設置規定)、
  以上の諸条は何れも議会の承認を得ることとする。特に宣戦、講和の際及び重要な条約を締結する場合、民主主義諸国家は常に議会の承認を経てこれを行うこととしている。又第十七条の摂政を置く場合については、典範は皇族会議及び枢密顧問の議を経ることを要する旨規程しているが、議会の議を経ることとするを必要と考えられる。
(ハ)第二十二条乃至(ないし)第三十条(国民の自由権及び誓願権)
  国民の権利に関する諸条はいづれも法律規定の定めることろに従い、その範囲内において行われる但書が付いており、憲法上の自由権はこの但書を援用して発布された諸法令によって実質上空文化している。従ってこの点は憲法改正について最も強く配慮すべきところのもので、先づ人民の自由を制限すべからざる旨の積極規定が制定されると共に国民の自由を制限する場合は、常にこれを例示することが考慮されるであろう。
(ニ)第三十四条(貴族院)
  貴族院令はその院令改正について貴族院自体の議を経て行い、衆議院の干与(かんよ)を認めていないが、これは衆議院議員選挙法の場合と同様、両院の議決を要するものとせらるべきものであろう。貴族院の改革については官僚の古手や世襲貴族の多数をこの特権議院に包容するの旧套をさけ、広く国民の中から産業界、勤労農民、文化界、技術研究部門などにおいて文化的な機能を果し、国家に貢献せるものを華族、優秀官吏の場合と同様に貴族院議員に勅任せられるの方途が講ぜられること。
(ホ)第四十三条(議会の会期)
  議会々期三カ月が短きに失することはすでに定評となっており、六ケ月に期間延長、常置委員会の設置ないし随時簡易議会を開き得る等の改正が考えらる。
(ヘ)第四十九条(議院上奏権)
  議会が内閣を弾劾し、または特定の大臣の過失を起訴し得るの規定が上奏権とともに設けられること。
(ト)第五十二条(議員の発言権)
  議会の発言と同様の言論は、院外においてもこれを行い乃至新聞雑誌に掲載するの自由をもたすべきこと。
(チ)第五十四条(大臣の発言)
  国務大臣の発言は政府の特権とせず、議会側がその出席および弁明を求め得る如く改めること。
(リ)第五十五条(国務大臣の責任)
  各国務大臣は天皇に対して単独に責任を負う事になっているが、憲法改正に当っては内閣は議会に対して連帯責任を負うよう改められ得べきこと。各国の憲法も大部分は政府が議会の信任を得ることを要する旨規定している。
(ヌ)第六十一条(行政裁判)
行政裁判は現在はほとんど空文に帰している。行政の遺失を改めるには行政裁判所がもっと活用されなければならぬ。その趣旨が憲法条文において明確にさるべきこと。
(ル)第六十五条(予算先議権)
  衆議院の予算先議権は、単に時間的な順序に過ぎない。これを衆議院が優先権を持つように改め、例えば二回以上衆議院を通過せる予算案は、これを成立せしむる如くすること。
(ヲ)第七十二条(会計検査)
  国家の歳出歳入の検査は、会計検査院が検査確定することとなっているが、これは議会の承認を先決とし、財政に対する議会の監督権を強化すること。
一、新たに規定を設けるよう考慮されるもの
内大臣は後継内閣奉薦その他重要な国務につき常時側近に奉じて御下問に奉答する使命を持っており、しかも国法上はなんらの権限および責任をもつ規定がなくその行為は時には明確を欠く恐れなしとしないので、その地位を憲法上に明定すること。

以上の諸点はわが国政治の大要とその運用及び臣民の権利義務に関する基本法則に関するものであるが、わが國體の基本をなす憲法第一条及び国家統治の基本法たる第四条(統治権)、第五条(立法権)などについても民主主義政治の新要請に即応すべく、字句の表現方法などについて必要な考慮が加えられるべきであろうし、さらに憲法上諭(じょうゆ=明治憲法下で、法律、勅令、条約、予算などを公布する時、天皇の裁可を表示したもの)及び第七十三條における憲法改正の発議権、および皇室典範の改正に関しても、これに国民の代表たる議会の関与と積極的な協賛の実を挙げしめることが至当と思われ、憲法改正草案の起案については、最も慎重な検討が加えられるであろうと期待される。

この記事が書かれたのは、敗戦からわずか二カ月後のことです。天皇制を基本にしながらも、かなり多くの条項について、問題点の指摘と同時に改正提案が含まれています。

これらは、無署名の記事ですが、鈴木安蔵著『憲法学三十年』(216‐221頁)によって、彼の談話記録を同盟通信社(注:同社は10月30日に解散)が配信した記事であることが判ります。
その部分を引用しておきます。
「上記十月十五日の同盟通信社での談話速記が――同盟通信社の機能として諸新聞社に、それを流したのであるが――『東京新聞』十月十八日号に全文発表されている。これは、もちろんわたくし自身、速記録について校閲してはいない。記者がニュースとして整理したために、多少の修飾も加えられているが、当時の憲法問題についての情況を知るためにも、ほぼ原文のまま引用しておく(仮名づかいは全部改めた)」(ただし、『東京新聞』10月18日号には、昨日紹介した別の論文が掲載されています。)

『憲法学三十年』の中では、原文のタイトルは「憲法の何処を改むべきか」となっています。
参考までに、この原文を収録しておきます。新聞社がとのように修正したかが判る興味深い例です。

「憲法の何処を改むべきか」
 帝国憲法改正の議は近衛御用掛を中心とする内大臣府の研究と、松本国務相を主任とする政府の研究の日本建で進められ、一方議会側でも貴族院制度調査会および衆議院制度調査会の両機関で研究されつつあり、またこれと併行して学界その他民間研究団体においても活発な憲法論議が取交されつつある。憲法改正の事業は平和国家再建の日本現段階に対処して今後の民主主義的な日本の政体を規定するものであるだけに、これに対する関係当局の関心は勿論全国民もその成行を注視しているものであるが、特に憲法改正の議が帝国憲法の精神に即し聖上陛下の御発意に基づいて起こされ、合法的に国民の研究批判が許されることとなった今日、憲法改正に対して国民の意見は率直自由に表明せられ、正しき国憲の立案に寄与することが要請されるのである。
 現在憲法改正に関する民間の有力な意見をあげれば、先ず憲法法典の根本的な改正を始めとし、これに付属する貴族院令、衆議院議員選挙法、議院法および憲法と併立する皇室典範等国家統治の根本法則並びに政府の態様、諸規則について全面的な改革を絶対必要としているのであるが、この中基本たる帝国憲法の各章に関する改正問題については次の様な点が指摘されている。
(一) 第三条 天皇不可侵に関する本条は国民的な感情に合致しておりこの精神は遵奉されるものであって、天皇に対し危害を加うべからざること並びに天皇が政治責任を負わざることの二点については外国の憲法においても当然にそれを認めている。しかし天皇に対し不敬の発言等をふくむ一切の批判が禁止されていることは、いわゆる言論の自由を確立すべきポツダム宣言の各章とそぐわないものがあるにあらざるやとの見解が米国その他連合国側でも強く唱えられており、天皇の地位を論ずるにあたって、これを不敬の発言とこじつけられる恐れなしとしない。言論の自由を徹底する趣旨において本条に必要な改正が考慮されている。
(二) 第十一条(統帥大権)第十二条(編制大権)第二十条(兵役義務) 以上三ヶ条はポツダム宣言履行に伴う陸海軍廃止によって当然廃止が予想されるものである。
(三) 廃止した方がよいと考えられているものは次の諸条であろう。
 (イ)第八条(緊急勅令) 議会の批判を回避するためか独善的政治の道具にされがちであり、議会の義限を著しく縮小する規定としてその廃止が予想され、但し真にやむをえざる場合、例えば内閣全体の責任において勅令を制定し速かな機会に議会の承認を求める様条件付緊急勅令を出しうることとする。
 (ロ)第三十一条(非常大権)第三十二条(臣民自由権の軍人準行規定)
 (ハ)第四十八条(議会秘密会) 公開議会である本質にかんがみ一切の秘密会を廃止し国民に対する政治外交の秘密をなくするため本条の撤廃が考えられる。
 (ニ)第五十六条(枢密院) 枢密院は憲法制定当時の重要草案諸議に関する機能をはたし今日では法制上の疑義を質す以外に殆んど使命をもたず、反対に将来議会が代表する政府を不当に拘束するおそれがあり、その廃止が考えられる。
 (ホ)第六十七条(憲法上の大権支出)第七十一条(前年度予算施行権) 両条は議会無視の著しいものであり、政府が予算の協賛をへずして独断的に前年度予算を踏襲しうる基礎をなすものである。外国では第七十一条を第十一条の統帥大権と並べて政府および軍閥の力の源泉であり議会政治を掃滅する根拠であるとしている。
(四) 大幅の修正を考慮されている諸条項
 (イ)第九条(独立命令) 議会の権限を制限し統帥大権と並んで政府および軍閥の力の源泉であり議会政治を排撃する根拠であるとしている。国民の自由権を剥奪する封建制の基礎となっているもので、警察犯処罰例、違警罪即決令等これに準拠しているが、かくのごときものは議会の承認を要することに改める。
 (ロ)第十条(官制大権、任免大権)第十三条(外交大権)第十四条(戒厳大権)第十七条(摂政) 以上の諸条は、いずれも議会の承認を要することとする。特に宣戦講和の大権および重要な条約を締結する場合、民主主義国家はつねに議会の承認をへてこれを行なうこととしている。また第十七条の摂政をおく場合については典範は皇族会議および枢密顧問の議をへるを要する旨規定しているが、議会の議をへることとするを必要と考えられる。
 (ハ)第二十二条乃至第三十条(国民の自由権及び請願権)
  国民の権利に関する諸条は、いずれも法律規定の定めるところにしたがい、その範囲内において行なわれる但書がついており、憲法上の自由権は、この但書を援用して発布される諸法令によって実質上空文化されている。したがってこの点は憲法改正について最も強く配慮すべきところのもので、先ず人民の自由は制限すべからざる旨の積極的規定が制定されるとともに国民の自由を制限する場合は、つねにこれを例示することが考慮されるであろう。
 (ニ)第三十四条(貴族院) 貴族院令は、その院令改正について貴族院事態の議をへて行ない、衆議院の関与をみとめていないが、これは衆議院議員選挙法の場合と同様、両院の議決を要するものとせられるべきであろう。貴族院の改革については官僚の古手や世襲華族の多数をその特権議員に包容する旧套を改め、広く国民の中から産業界、勤労者農民、文化層、技術研究部門において文化的な機能をはたし国家の貢献せるものをも、華族、優秀官吏の場合と同様、貴族院議員に勅任せられるの方途が講ぜられること。
 (ホ)第四十二条(議会の会期) 議会の会期三ヶ月が短きに失することは、すでに定評となっており、六ヶ月に期間延長、常置委員会の設置のほか随時容易に議会を開きうる等の改正が考えられる。
 (へ)第四十九条(議院上奏権) 議会が内閣を弾劾し、または特定大臣の過失を起訴しうるの規定が上奏権とともに設けられること。
 (ト)第五十二条(議員の発言権) 議会における発言と同様の言論は院外においてもこれを行ない、または新聞雑誌に掲載するの自由をも保大しむべきこと。
 (チ)第五十四条(大臣の発言) 国務大臣の発言は政府の特権とせず、議会側がその出席および弁明を求めうるごとく改めること。
(リ)第五十五条(国務大臣の責任) 各国務大臣は天皇に対して単独に責任を負うことになっているが、憲法改正にあたっては内閣は議会に対し絶対責任を負うように改めるべきこと。各国の憲法も大部分は政府が議会の信任をうることを要する旨を規定している。
(ヌ)第六十一条(行政裁判) 行政裁判は現在はほとんど空文に期している。行政の遺失を改めるためには行政裁判所がもっと活用されねばならぬ。その趣旨が憲法条文において明確にさるべきこと。
(ル)第六十五条(予算先議権) 衆議院の予算先議権は、たんに時間的な順序にすぎない。これを衆議院が優越権をもつように改め、例えば二回以上衆議院を通過せる予算案は、これを成立せしめるごとくすること。
(ヲ)第七十二条(会計検査) 国家の歳出歳入の決算は会計検査院が検査確定することとなっているが、これは議会の承認を先決とし財政に対する議会の監督権を強化すること。
(五) 新たに規定を設けるように考慮されるもの
  内大臣は後継内閣奏薦その他重要な国務に常時側近に奉侍して御下問に奉答する使命をもっており、しかも国法上は何ら権限および責任をもつ規定がなく、その行為は時には明確を欠くおそれなしとしないので、その地位を憲法上に明らかに定むること。


五つ目に紹介するのは、10月25日付『東京新聞』一面トップ記事。

見出しは、「憲法改正速行論 成文法的に改正 制定の精神確定 民主主義天皇制と矛盾せず 金森博士」です。これも、見出しとコピーの紹介にとどめます。

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『東京新聞』は、10月16日から18日まで三回にわたって鈴木安蔵の論文を連載しましたが、今回は、元法制局長官で、後に憲法担当国務大臣となる金森徳次郎の論文を紹介しています。

※本書『心踊る平和憲法誕生の時代』の注文については、こちらから

by kenpou-dayori | 2013-06-11 07:00 | 戦後日本と憲法民主化報道