人気ブログランキング |

岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

kenpouq.exblog.jp
ブログトップ

2014年 02月 27日 ( 2 )


2014年 02月 27日

憲法便り#552 昨年6月21日付『毎日新聞(宮城県版)』に掲載の拙著『心踊る・・』の紹介記事

2014年2月27日
憲法便り#552 昨年6月21日付『毎日新聞(宮城県版)』に掲載の拙著『心踊る・・』の紹介記事


新聞労連加盟109組合宛に出した手紙に同封した、2013年6月21日付『毎日新聞(宮城県版)』の紹介記事のコピーです。

c0295254_9531232.jpg



昨年、【速報】としてお伝えしました

※本書『心踊る平和憲法誕生の時代』の注文については、こちらから

by kenpou-dayori | 2014-02-27 10:16 | 掲載紙・掲載誌
2014年 02月 27日

憲法便り#551 『アンネの日記』事件について憂う/エカテリーナ2世の焚書にもふれて(増補版)

2014年2月26日

日本の図書館運営は、利用者への信頼に基づいて、誰もが本を手に取って、自由に選択できる方法をとってきた。しかるに、今回の事件は、その運営の基礎となる前提を揺るがす大問題であり、看過できない。私もここに抗議の意思を表明しておきたい。
民主主義は、暴力的な方法ではなく、平和的な論議を通じて、異なる意見の存在を認めつつ共存することを前提として成立する。
今回の行為は、如何なる動機によるものであっても、この原則とは相容れない。
私は、新宿区立図書館の利用者としても、私たち新宿区民の共有の財産を毀損した行為に憤りを覚える。

今回の行為は個人的なものと考えられるが、国家機関による検閲、発禁処分、さらには焚書(ふんしょ)といった、大規模な言論弾圧もある。
いずれにせよ、言論・表現の自由を圧殺しようとする暴挙であり、許すことは出来ない。

ところで、私が研究のテーマとしている「16-18世紀ロシアにおける書籍文化史」においても、「啓蒙専制君主」と称されたエカテリーナ2世の時代に、焚書が行われていたことが判明している。
エカテリーナ2世の、「啓蒙君主」としてよりも、「専制君主」としての本質が強く現れていることなので、この際、併せて明らかにしておきたい。

この研究は、2000年7月7日に、専修大学人文科学研究所フランス革命資料センター主催の定例研究会で報告を行った際の準備稿のひとつである。
原題は当初『ロシアとフランス革命』を予定したが、主催者がわの要望を取り入れて『フランス革命とロシア』とした。
同報告は、専修大学人文科学研究所発行の『人文科学年報』第31号(2001年)に収録されている。
以下に紹介する文献はすべてロシア語であるが、文中の書名は拙訳による。


エカテリーナ2世時代の焚書について(準備稿)

第一稿及び第二稿は、内容的に重なる部分があるが、整理する時間を取らず、そのまま掲載する。

第一稿
ここでr論及するのは、下記の10冊です。
冒頭の部分は表にしてありますが、ここには入らないので、項目を以下のように整理します。
①総目録の書籍番号 ②分類 ③書名 ④刊年 ⑤印刷所名 ⑥言語 ⑦備考

第一:①2017②宗教/キリスト教/教理・道徳;哲学・心理/修辞学④ 『人間のすべての心の中の内面の精神的な誇り、深い、暗い、ひそかな悪意についての貴重な書物』④1786⑤印刷商会⑥ロシア語⑦1787年モスクワの書店で1069部没収、1792年に再度没収、1793年焚書

第二:①2018②宗教/キリスト教/教理・道徳;哲学・心理/修辞学③ 『キリストの墓石からの高価な蜜の雫』④1784⑤ノヴィコフ⑥ロシア語⑦1787年モスクワの書店で127部没収、1792年再度没収、1793年焚書

第三:①2063②宗教/キリスト教/教理・道徳 ③ ドゥゼタン著『イエス・キリストの十字架の秘蹟と、彼の手足』④1784⑤ロプーヒン⑥ロシア語⑦ノヴィコフ逮捕時に没収、1793年に焚書

第四:①2352②宗教/キリスト教/教理・道徳③ 『真に敬虔なる、そして自らの魂の救いを熱望するキリスト教徒たちを、教え諭すこと、確信させること、慰めることで奉仕しながら、神に執着することについての素晴らしい書物』④1784⑤ノヴィコフ⑥ロシア語⑦1787年モスクワの書店で111部没収、1792年再度没収、焚書

第五:①2484②宗教/正教/教理・教義③ 『聖なる、そして偉大なる四旬節(復活祭前の40日間の斎戒期)、また様々な主日及び祭日に頌詩を、あるいは至聖なる聖母の様々な祭日においての賞賛の言葉を添えた、ケルニカ及びカラヴリタ(ペロポネソス半島の)主教イリアス・ミニアティスの教訓的説教集』④1787⑤印刷商会⑥ギリシャ語からのロシア語訳⑦1787年モスクワの書店で1,016部没収、1792年再度没収、焚書

第六:①2616②宗教/キリスト教/教父神学③ 『われらの聖なる教父、コンスタンチノープル大主教金口聖ヨハネの独身生活についての書』④1783⑤ノヴィコフ⑥ロシア語⑦1787年モスクワの書店で554部没収、1792年再度没収、焚書

第七:①2675② 哲学・心理③ 『哲学的及び道徳的な伝導の研究』(発禁処分になったフリーメーソンの出版物)④1787⑤印刷商会⑥ドイツ語からのロシア語訳⑦1787年モスクワの書店で999部没収、1792年再度没収、焚書。発禁本

第八:①2921②哲学・心理③キルヒヴェーゲール(Kirchweger, Anton Joseph)著『プラトンの輪』第1部。④1785⑤秘密印刷所⑥ロシア語⑦1792年ノヴィコフ逮捕時に彼の村で没収、勅令で焚書

第九:①4494②宗教/キリスト教/教理・道徳③『自然と神の恵み、あるいは永遠の救いの判断における、自然のままの人間と精神的(又は宗教的)な人間の感情の間の若干の本質的な差異』④1784⑤ノヴィコフ⑥フランス語からのロシア語訳⑦1787年モスクワの書店で677部没収、1792年再度没収、焚書

第十:①8581②哲学・心理/倫理③ エッカー・ウント・エクホーフェン(Ecker und Eckhoffen, Hans Heinrich von)著『旧体制の金及びバラ十字会(17-18世紀ごろヨーロッパにあった密教的秘密結社)のフリーメーソンの集会講演』④1784⑤秘密印刷所⑥ドイツ語からのロシア語訳⑦1792年ノヴィコフ逮捕時に彼の村で没収、勅令で焚書

以上は『18世紀ロシアの世俗文字による出版物総目録(1725-1800)』全5巻(1962-1967)により作成
(注)
1.総目録の番号は『18世紀ロシアの世俗文字による出版物総目録(1725-1800)』によります。
2.分類の読み方
例:「2017 宗教/キリスト教/教・倫; 哲学・心理/修辞学」
/ の区切りの右に進むほど下位の項目になります。
; の後は別の分類項目。
したがって、No.2017は「宗教」と「哲学・心理」の両方の索引に掲載されています。
3.印刷所名
「ロプーヒン」以外はすべてノヴィコフが経営した印刷所。ロプーヒンはノヴィコフの友人。
「ノヴィコフ」はノヴィコフがモスクワ大学印刷所を賃借して出版していたので、標題紙には「モスクワ大学」と「ノヴィコフ」名が併記されています。
「秘密印刷所」はフリーメーソンの秘密印刷所。
各印刷所の活動期間と出版点数については拙著『ピョートル大帝蔵書とロシアの書籍文化』(一橋大学社会科学古典資料センターで刊行されたStudy Series No.43)の51頁に掲載した〔表14-2〕をご参照下さい。
4.備考欄
1792年の没収冊数は不明。『18世紀ロシアの世俗文字による出版物総目録(1725-1800)』の註釈では、焚書は1793年2月11日付けのエカテリーナ2世の勅令、命令(勅命)、または指示によるものと3通りに書かれていますが、『ロシア帝国法令全書』ではこの勅令等が確認できません。
5.書名
① No.2017 『人間のすべての心の中の内面の精神的な誇り、深い、暗い、ひそかな悪意についての貴重な書物』
② No.2018 『キリストの墓石からの高価な蜜の雫』
③ No.2063 ドゥゼタン著『イエス・キリストの十字架の秘蹟と、彼の手足』
④ No.2352 『真に敬虔なる、そして自らの魂の救いを熱望するキリスト教徒たちを、教え諭すこと、確信させること、慰めることで奉仕しながら、神に執着することについての素晴らしい書物』
⑤ No.2484 『聖なる、そして偉大なる四旬節(復活祭前の40日間の斎戒期)、また様々な主日及び祭日に頌詩を、あるいは至聖なる聖母の様々な祭日においての賞賛の言葉を添えた、ケルニカ及びカラヴリタ(ペロポネソス半島の)主教イリアス・ミニアティスの教訓的説教集』
⑥ No.2616 『われらの聖なる教父、コンスタンチノープル大主教金口聖ヨハネの独身生活についての書』
⑦ No.2675 『哲学的及び道徳的な伝導の研究』(発禁処分になったフリーメーソンの出版物)
⑧ No.2921 キルヒヴェーゲール(Kirchweger, Anton Joseph)著『プラトンの輪』第1部。
⑨ No.4494 『自然と神の恵み、あるいは永遠の救いの判断における、自然のままの人間と精神的(又は宗教的)な人間の感情の間の若干の本質的な差異』
⑩ No.8581 エッカー・ウント・エクホーフェン(Ecker und Eckhoffen, Hans Heinrich von)著『旧体制の金及びバラ十字会(注:17-18世紀ごろヨーロッパにあった密教的秘密結社)のフリーメーソンの集会講演』

以上、10点のタイトルを見たかぎりでは、フランス革命に直接関係する内容の書籍は1点も含まれていません。これらの書籍は発禁処分になった他の書籍とともに焚書されています。発禁処分及び焚書の対象になった書籍に関しては、今のところこれ以上詳しいことは分かりません。

第2稿 エカテリーナ2世時代の焚書について(専修大学・準備稿)
エカテリーナ2世は1787年と1792年の2度にわたって行った書店の捜査及び書籍の没収だけではあき足らず、1793年2月に焚書という暴挙に及んでいる。
『18世紀ロシアの世俗文字による出版物総目録(1725-1800)』(文献注No.未定)の註釈では、焚書は1793年2月11日付けのエカテリーナ2世の勅令、命令(勅命)、または指示によるものと3通りに書かれているが、『ロシア帝国法令全書』(文献注No.未定)ではこの勅令等が確認できない。
焚書に付されたことがはっきりしているタイトルは次の10点である。《 》内は印刷所名で、《ロプーヒン》以外はすべてニコライ・ノヴィコフが経営した印刷所である。ロプーヒンはノヴィコフの友人。《ノヴィコフ》の出版物は、ノヴィコフがモスクワ大学印刷所を賃借して出版していたので、標題紙には「モスクワ大学」と「ノヴィコフ」の名が併記されている。「秘密印刷所」は文字通りフリーメーソンの秘密印刷所である。
①『人間のすべての心の中の内面の精神的な誇り、深い、暗い、ひそかな悪意についての貴重な書物』《印刷商会》、1786年刊。1787年にモスクワの書店で1,069部没収、1792年再度没収、1793年焚書。
②『キリストの墓石からの高価な蜜の雫』《ノヴィコフ》、1784年刊、1787年モスクワの書店で127部没収、1792年再度没収、1793年焚書
③ドゥゼタン著『イエス・キリストの十字架の秘蹟と、彼の手足』《ロプーヒン》、1784年刊。ノヴィコフ逮捕時に没収、1793年に焚書。
④『真に敬虔なる、そして自らの魂の救いを熱望するキリスト教徒たちを、教え諭すこと、確信させること、慰めることで奉仕しながら、神に執着することについての素晴らしい書物』《ノヴィコフ》、1784年刊。1787年モスクワの書店で111部没収、1792年に再度没収、(1793年?)焚書。
⑤ 『聖なる、そして偉大なる四旬節(復活祭前の40日間の斎戒期)、また様々な主日及び祭日に頌詩を、あるいは至聖なる聖母の様々な祭日においての賞賛の言葉を添えた、ケルニカ及びカラヴリタ(ペロポネソス半島の)主教イリアス・ミニアティスの教訓的説教集』《印刷商会》、1787年刊、ギリシャ語から翻訳。1787年にモスクワの書店で1,016部没収、1792年に再度没収、(1793年?)焚書。
⑥『われらの聖なる教父、コンスタンチノープル大主教金口聖ヨハネの独身生活についての書』《ノヴィコフ》、1783年刊。1787年モスクワの書店で554部没収、1792年に再度没収、(1793年?)焚書。
⑦ 『哲学的及び道徳的な伝導の研究』(発禁処分になったフリーメーソンの出版物)《印刷商会》、1787年刊、ドイツ語から翻訳。1787年モスクワの書店で999部没収、1792年に再度没収、(1793年?)焚書。
⑧ キルヒヴェーゲール(Kirchweger, Anton Joseph)著『プラトンの輪:第1部』《秘密印刷所》、1785年刊。1792年のノヴィコフ逮捕時に彼の村で没収、勅令で(1793年?)焚書
⑨『自然と神の恵み、あるいは永遠の救いの判断における、自然のままの人間と精神的(又は宗教的)な人間の感情の間の若干の本質的な差異』《ノヴィコフ》、1784年刊、フランス語からの翻訳。1787年モスクワの書店で677部没収、1792年に再度没収、(1793年?)焚書。
⑩エッカー・ウント・エクホーフェン(Ecker und Eckhoffen, Hans Heinrich von)著『旧体制の金及びバラ十字会(17-18世紀ごろヨーロッパにあった密教的秘密結社)のフリーメーソンの集会講演』《秘密印刷所》、1784年刊、ドイツ語からの翻訳。 1792年のノヴィコフ逮捕時に彼の村で没収、(1793年?)焚書。
これらの10点のタイトルを見たかぎりでは、フランス革命に直接関係する内容の書籍は1点も含まれていない。これらの書籍は発禁処分になった他の書籍とともに焚書されている。発禁処分及び焚書の対象になった書籍に関しては、今のところこれ以上詳しいことは不明である。
焚書によっても不安が解消されなかったエカテリーナ2世は、3年後の1796年9月に私営印刷所のすべてを閉鎖してしまう。

以上、『18世紀ロシアの世俗文字による出版物総目録(1725-1800)』全5巻(1962-1967)により作成
(注)各印刷所の活動期間と出版点数については拙著『ピョートル大帝蔵書とロシアの書籍文化』(一橋大学社会科学古典資料センターで刊行されたStudy Series No.43)の51頁に掲載した〔表14-2〕をご参照下さい。

増補部分:このように二百年以上も前のことを研究し、検証出来るのは、記録が保存されていたことによります。
日本では、ロシアが胡散(うさん)臭い存在のように論じられることが多いが、実は、現在の安倍政権が強行した秘密保護法の方が、記録を残すことを前提としておらず、歴史的に見ると、よほど犯罪的でひどいものであることが判る。

by kenpou-dayori | 2014-02-27 07:30 | 今日の話題