人気ブログランキング | 話題のタグを見る

岩田行雄の憲法便り・日刊憲法新聞

kenpouq.exblog.jp
ブログトップ
2013年 05月 04日

憲法便り#1:安倍政権暴走の起点「安倍首相が歴史を捏造した予算委員会の答弁について」

2013年5月4日

憲法便り#1:安倍政権暴走の起点「安倍首相が歴史を捏造した予算委員会の答弁について」

今日は、『心踊る平和憲法誕生の時代』の「はじめに」(刊行の言葉)の冒頭を紹介します。

 はじめに
 私は第九条を変え、戦争を出来る国にする憲法改悪には、絶対に反対である。その明確な意思表示として、ここに、本書を緊急自費出版する。
 まず、嘘も含めた派手な言動と演出で、国民に真実を考える暇を与えない安倍首相の手法について述べる。

【第一…「押し付け憲法」論のでたらめ】
 二〇一三年二月十二日の予算委員会で代表質問に立った日本維新の会石原慎太郎議員が、前置きのあと改憲について最初に質問し、安倍晋三首相が答えた場面。

石原慎太郎議員「さてね、総理が、その、総選挙に、総裁選に出られる前にですね、ある人の仲立ちで一晩、会食致しましたが、その時、私いろんなことあなたにお聞きして確かめました。非常にその、心強いですね、期待しておりました。で、まずですね、この国のですね、今日の混乱、或いは退廃にですね、導いたひとつ大きな大きな原因である、現行の憲法についてですね、お聞きしたいと思いますけれども、人間の社会に存在するですね、色々な規範というものは結局は、まぁ人工的なものもあるでしょうけれども、或いはですね、人間の歴史というものの原理っていうものはこれを規制して、これに則ってると思いますね。で、この、戦争の勝利者が敗戦国を統治するために強引に作った即製の、えー、基本法というものが、えー、国破れ統治されてた国が独立した後ですね、数十年に亘って存続しているという事例を私は歴史の中で見たことがない。で、もしですね、因みに、日本という独立国のね、主権者である、つまり最高指導者、総理大臣が、この歴史の原理に則って、かつて勝者が作って押し付けた憲法というのもを、「認めない」と、「これを廃棄する」ということをですね、宣言した時にこれを拒む法律的見解は果してあるんでしょうかね? そういうものを含めてね、あなたが今、日本の憲法について、いかにお考えかお聞きしたい」
安倍首相「確かに今、石原先生がおっしゃったように、現行憲法は、えー、昭和、あー、二十一年に、ま、日本がまだ占領時代にある中に於いて作られ、そして『マッカーサー試案』が、えー、毎日新聞によってこれがスクープをされる訳でありますが、スクープを見た、えー、マッカーサーが怒り狂い、えー、これはもう日本に、えー、任せておく訳にはいかないということで、えー、ホイットニーに命じて、そしてホイットニーが二月の四日に、えー、民政局の次長でありますケーディスに命じて、二月の四日だったんですが、えー、二月の十二日までに作れと言って、ほぼ八日間、一週間ちょっとで、えー、作り上げた、あー、それが原案、ま、現憲法の原案で、えー、あった訳でございますが、それが、あー、現在の現行憲法の、えー、もとであると、このように認識をしております」
石原議員「ですからね、その憲法をね、もし、今の日本の最高指導者であるあなたがね、これを廃棄すると、仮に言われた時にですね、これをですね、法的に阻害するその根拠ってのは、実際は無いんですよ、どこにもね」

 自信のない答弁だから「えー」「あー」「ま」が多い。
不勉強な官僚が作った答弁書に基き、さらに不勉強な安倍首相が行った答弁は、歴史の捏造と言うべきものである。彼が言う「マッカーサー試案」は存在しないし、マッカーサーが怒り狂った事実もない。
『毎日新聞』が報じたのは、憲法問題調査委員会(通称松本委員会)の試案とされるものである。このスクープ報道は、実は誤報であったが、その真相については本書第二部で詳述する。
 国立国会図書館で翌十三日の四十五紙を調査したが、答弁の誤りを指摘した新聞は、記事を誤用された『毎日新聞』を含めて一紙もない。私は新聞報道のこの現実に危機感を覚える。したがって、インターネット審議中継の録画から音声を文字におこして、ここに収録した。

 それにしても、石原議員の発言は単なる「暴走」ではなく、クーデターをそそのかす憲法違反の暴言である。
 日本国憲法は、第十章「最高法規」で次のように定めている。「第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し、擁護する義務を負ふ。」
 憲法改正の経緯については本論で詳しく述べるが、ここで表にして要点を示しておく。占領下にあったことは紛れもない事実であるが、石原議員の主張と安倍首相の答弁は、前段の経緯をすべて無視し、*印を付けた三つの時点を、でたらめに強調しているに過ぎない。

断言するが、二月十三日にGHQが提示した草案は、高野岩三郎、鈴木安蔵らの「憲法研究会」案を基礎に作成された、当時の日本国民の世論を反映したものである。

一九四五年(昭和二十年)
 八月一四日 ポツダム宣言受諾(憲法改正の必然性)。
 八月一七日 東久邇宮内閣発足。 
 九月二一日 『朝日新聞』で「国家基本法」(注・憲法)の再検討が論じられる。
 十月二日 『北日本新聞』がいち早く「憲法改正と国民の自覚」と題する論説を掲げる
 十月四日 マッカーサー・近衛会談/マッカーサーが近衛国務相に、民主主義的要素を十分に盛り込んだ改憲の必要性を言明。
 十月五日 東久邇宮内閣総辞職。
 十月七日 『福井新聞』、『静岡新聞』が憲法改正について論じたのを皮切りに、年末までに全国各紙で憲法改正の世論形成が進む。
 十月九日 幣原内閣発足
 十月十一日 マッカーサー・幣原会談/マッカーサーが幣原首相に、憲法の自由主義化を示唆
 十月二五日 憲法問題調査委員会(通称松本委員会)が設置される。幣原首相は松本国務相に丸投げし、松本は単に時間稼ぎをする。
 十二月六日 GHQ民政局法務班長ラウエルが『日本の憲法についての準備的な研究と勧告の報告書』(明治憲法の緻密な研究)を提出。
 十二月二六日 憲法研究会が『憲法草案要綱』を発表
 十二月二八~三〇日 全国二十二紙が同案を報道。
 十二月二九日『讀賣報知』が一面で、「憲法改革を人民の手に」の社説を掲げる。年末までに「憲法民主化」の世論が形成されていた。
 十二月三一日 連合国翻訳・通訳部が憲法研究会案の翻訳を発表。
一九四六年(昭和二十一年)
 一月二日 米国務長官宛の政治顧問書簡第一五三号に憲法研究会案の別個の翻訳が添付される。
 一月十一日 二つの翻訳を参考に、ラウエルが報告書『民間研究団体による憲法改正案に関する註解』を作成。憲法研究会案を高く評価し、同案が後に、GHQ草案の原型となる。
*二月一日  毎日新聞の「スクープ」報道。(実は誤報)
*二月四日  GHQ民政局が草案作りを始める。
*二月十三日 外務大臣官邸で行われた「オフレコ」の会談で、GHQ草案を日本側に手渡す。

      (注:本書で「官邸」を、入力ミスにより「公邸」としたところは、「官邸」と訂正します)

憲法便り#1:安倍政権暴走の起点「安倍首相が歴史を捏造した予算委員会の答弁について」_c0295254_0254926.jpg


〔まとめのひと言〕歴史の捏造と、不正確な歴史認識に基くキャンペーンによる憲法改悪を、絶対に許してはならないと思います。

外務大臣官邸で行われた「オフレコ」の会談については後日、紹介します。

※本書『心踊る平和憲法誕生の時代』の注文については、こちらから

# by kenpou-dayori | 2013-05-04 07:00 | 国会議員・政党関連
2013年 05月 03日

イラスト作者について

イラスト作者について_c0295254_6442032.jpg


このイラストは、北海道旭川市在住の切り絵作家・阿部俊行さんによるもの
2006年5月3日に「あさひかわ九条の会」が旭川市公会堂で行った一周年記念講演会(参加者約600名)のチラシ(1万部配布)のために作成されました
とても似ていると好評です
各地で行う講演会のチラシ等に、このイラストを使用させていただいております

# by kenpou-dayori | 2013-05-03 06:42 | プロフィール
2013年 05月 03日

『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』(『心踊る平和憲法誕生の時代』(改題・第二版)の注文方法

2013年3月31日に初版、2014年5月31日に改題・補訂第二版を緊急自費出版!                           
岩田行雄 編著
『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!』(『心踊る平和憲法誕生の時代―戦後の61紙に見る憲法民主化の過程』の改題・補訂第二版)
(B5判240頁)価格1,000円(消費税、送料別)

 このたび憲法改悪に絶対反対の明確な意思表示として、本書を緊急自費出版しました。

『心踊る…』の書名は、1946年11月1日付『徳島民報』一面に掲載された《新憲法祝賀おどり》の広告の、次の喜び溢れる言葉に因んでいます。
「11月3日は新憲法公布の日だ、新日本の黎明だ、平和だ、友好だ、豊年じゃ、満作じゃ、みんなで祝う、阿波踊りが許された、踊りおどるなら華やかに踊ろう」(〔日時〕11月3日朝9時から夜11時まで〔会場〕市役所前〔主催者〕徳島商工会議所と徳島民報)。これが真の国民の姿です。
敗戦後、焦土から復興する力は民主主義、文化国家、平和国家を目指す理想の中から生まれました。現実に合わせて平和の理想を棄てるのではなく、世界平和の理想を高く掲げて進むことを訴えます。

≪ご注文方法≫
美和書店へ電話もしくはFAXにてご注文ください

美和書店
電話:03-3402-4146/FAX:03-3402-4147
営業時間:午前10時~午後7時(日曜、祝日は休み)
※消費税、送料は別途かかります
http://www.tokyo-shoten.or.jp/shop/tokyo/1160


# by kenpou-dayori | 2013-05-03 06:36 | 注文方法
2013年 05月 03日

憲法便り#2502:プロフィール(これまでの憲法関係の活動)加筆版!

2018年3月16日(金)

憲法便り#2502:プロフィール(これまでの憲法関係の活動)加筆版!

2013年5月3日
2015年8月14日(金)加筆
2018年3月16日(金)加筆

〇 2004年4月出版『全国お郷ことば・憲法9条』(合同出版)に憲法第九条のロシア語訳を寄稿。

〇 2004年6月に『検証・憲法第九条の誕生』(B5判,171頁)を自費出版。初版5,000冊は3ヶ月余で完売。
その後、増補・改訂第二版5,000冊、増補・改訂第三版8,000冊、増補・改訂第四版5,000冊、増補・改定第五版1,200冊(191頁)、改訂第六版1,000冊(175頁)を刊行。合計25,200冊。

〇同書を刊行した直後の2004年7月からの講演は149回に及ぶ。
訪問地は東京、千葉、埼玉、神奈川の首都圏以外に、
北見、旭川(2回)、釧路、厚岸、江別、札幌、函館(2回)、
青森、八戸、盛岡、秋田(3回)、土崎、鹿角、横手、増田町、湯沢(2回)、大曲、
山形、仙台(3回)、いわき、喜多方、須賀川、郡山、白河、会津柳津、竜ケ崎、
熱海、静岡、石和、身延、塩山、八ヶ岳、長野(3回)、富山、名古屋(2回)、
奈良、広島、松山、安芸市(高知)、宮崎、浦添(沖縄)、西原町(同)、名護(同)などの全国各地。

〇 2008年2月 国立国会図書館の労働組合文化祭にて同図書館職員を対象に講演。

〇 2008年4月 専修大学法学部特殊講義「平和と法・I」で約100名の学生に講義。

〇 2008年4月 『平和憲法誕生の真実』(B5判240頁)3,000冊を自費出版。(即完売)

〇 2008年7月『新しい憲法 明るい生活』点字版刊行。点字図書館・希望者に寄贈。

2008年10月「韓国九条の会」の招きにより、5都市(ソウル、安山、安養、富川、水原)にて講演。

〇 2009年9月 『外務省と憲法第九条』(B5判288頁)1,700冊を自費出版。(即完売)

〇 2009年11月、2010年11月、2011年7月 専修大学法学部特殊講義で学生に講義。

〇 2011年12月、名大九条の会 東山・見附九条の会での講演記録『憲法第九条はどのように誕生したか』
(A4判、五十頁)が東山・見付九条の会により600冊刊行される。

2013年4月『心踊る平和憲法誕生の時代』2,000冊を緊急自費出版。

〇 2014年5月『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!ー押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論』(『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版)1,000冊を自費出版。

〇 2014年5月:日本点字図書館が運営する視覚障害者用の「サピエ図書館」に、下記の3点のデータを提供。
①『新しい憲法 明るい生活』
②『検証・憲法第九条の誕生』(第五版)
③『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!ー押し付け憲法論への、戦後の61紙等に基づく実証的反論』(『心踊る平和憲法誕生の時代』の改題・補訂第二版)

〇 2014年6月:ひとり芝居『ヒットラー来たり、ヒットラー去る』(二時間)を初演。

〇 2014年7月:育鵬社、自由社の教科書を採択しないよう、新宿区教育委員会に憲法研究者の立場から要望書を提出。

〇 2015年7月:講談『日本国憲法誕生秘話』(第一話)上演。
○ 2016年8月:講談『日本国憲法誕生秘話』(第二話)上演。
○ 2017年8月:講談『日本国憲法誕生秘話』(第三話)上演。

○ 2016年4月:「新宿のくらしと文化を考える会主催憲法講演会」のためのレジュメと資料集
 『世論と新聞報道が平和憲法を誕生させた!ー「押し付け憲法」論への実証的反論!』270冊(A4判、52頁)を自費出版。

○ 2017年12月『日本国憲法制定に伴う民法改正ー女性の権利確立の視点からー』100冊(A4判、60頁)

※『検証・憲法第九条の誕生・・・「押し付け」ではなく、自ら平和条項を豊富化した論議の全過程』については、
http://kyujomagic.exblog.jp/


# by kenpou-dayori | 2013-05-03 06:10 | 憲法関係の活動
2013年 05月 03日

行動する研究者・岩田行雄のプロフィール

○1942年9月2日、東京・葛飾に生まれる。
○1945年3月、2歳の時に家族と共に福島県小高に疎開、更に小名浜へ。8月9日に小名浜で米軍の爆撃に遭い、焼夷弾により住居が全焼。敗戦後、葛飾に戻る。
○葛飾区立渋江小学校、葛飾区立中川中学校、東京都立桜町高校を卒業。
○早稲田大学第二文学部でロシア文学を学ぶ。卒論のテーマは「婦人論」。
○卒業後、外国書籍販売及び出版のナウカ株式会社に営業マンとして30年間勤務。
○その間、出版労連のナウカ労組委員長、業種別共闘組織の小売洋販共闘会議議長等を歴任。また「太洋社労組斎藤君を守る会」(2,000名)事務局長、「第一学習社闘争東京勝たせる会」(2,300名)副会長、「国労を勝たせる会」(1,000名)会長等を務め、正義感を原動力にいずれもゼロからの争議団支援組織作りに積極的に取り組む。
○1975年12月末-1月初旬、ベトナム解放戦線がアメリカのベトナム侵略戦争に勝利した直後の北ベトナムを友好訪問。米軍による病院、市街地、農村、道路、橋などへの無差別爆撃の実態を視察する。
○1997年12月に、ナウカ株式会社を55歳で退職。その後は、在職中から取りかかっていた16-18世紀ロシアの書籍文化史を中心とする研究活動に専念。『ピョートル大帝蔵書とロシアの書籍文化』(一橋大学古典資料センター・Study Series No.43)を始めとする論文多数。口頭での研究発表も精力的に行っている。
○2003年8月『牛肉偽装事件の真相とその後―雪印の社会的責任を問う』自費出版(即完売)。
○2003年10月に詩集『愛のあいさつ』を自費出版。2006年1月に増補第二版刊行。
○参加してきた研究団体(参加し始めた年代順):私立大学図書館協会西洋古版本研究部会、日本グロリア・クラブ、日本イタリア友の会、日本ロシア史研究会(学会)、日本ウクライナ研究会、書物史研究会、来日ロシア人研究会、ロシア思想史研究会、美術史方法論に関する研究会、日本18世紀ロシア研究会
○2002年4月から2004年3月まで早稲田大学現代政治経済研究所特別研究員。
○趣味マジック。妻とのユニット名「ダブル・ファンタジー」、単独ではMr.マジック。

※憲法関係の活動についてはこちらにまとめて記載

# by kenpou-dayori | 2013-05-03 06:07 | プロフィール